ロシアンシスターズ
□スパイ5
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「最後は注国の黄金茸か…たく!普通のキノコでいいのに面倒くさいなー」
周囲を見渡し注国語で書かれた看板を探す。
と、その時だ。
「お姉さん!!」
マキラーはいきなりロシアン語で呼び止められた。
「ん?」
様々な国の言葉が飛び交う中突如とんできたロシアン語。てっきりロシアン人かと思いきや…
目の前に立っていたのはロシアン人ではない頭にターバンを巻いたアジアン風の顔立ちの少年だった。
「何か探しものー?相談にのるよー!」
ニコニコしながら少年はマキラーの返事を待つ。
「あんたここの案内人か?」
マキラーの問いに少年は頷いた。
「街の案内役っていったってちゃーんと報酬はもらってるんだぜ?」
「ふーん…それよりあんたロシアン語を話してるが見たところアジアン人か」
「せいかーい!この移民街で働くため語学は一生懸命勉強したからね」
「へえ…どうやら姉貴より立派みたいだな」
「姉貴?」
「ああ、あそこでトマトにつぶされてる奴」
マキラーは後方で倒れているナーナを指差して答えた。
「ええ…?!!あの人何でトマトの下敷きに?!」
「まあいろいろあってな」
「………」
「じゃ!早速だけどこの辺に注国産の野菜売ってる店知らないか?黄金茸を買いに行きたいんだけど…」
「ああ黄金茸ねー。そいつはもっと先の離れの移民区にあるよ!ここからだとこの海岸沿いを真っすぐいってでっかい緑の倉庫を右だよ!」
「なんだ…離れにあんのか…」
「売ってる店の名前はなんだったっけかなあ…風来種宝、いや野菜全選、だっけかなあ…?」
「いや、そこに行けばあるんならじゅうぶんだ。ありがとな」
マキラーはそう言うと、
「おい姉貴ーーー!!!いつまで寝てんだ!!!置いてくぞ!!!」
後ろで相変わらず伸びたままのナーナにそう怒鳴る。
しかしナーナはぴくりとも動かない。
「ち…しょうがねえな…」
マキラーは呆れるように呟くと、
「よ!」
胸元にしまっていた鎖鎌を一瞬で装着するとナーナの足元に鎖部分をぐるんと絡ませた。
「え…?!」
あっというまの出来事に少年は驚く。
「何で鎖鎌なんて…!!?」
「護身用さ」
そう言い鎖鎌のとってを引くとゆっくりと歩き始めた。
「ギャーーー!!!」
完全に足を引きづられる状態でナーナも動き出す。
「ひどい!!仮にも姉さん!」
「ふん…」
少年の言葉をまったく気にする素振りもなくマキラーはスタスタ歩き続けた。
「あ、そういやお金は?」
思い出したようにマキラーが振り返る。
「え?ああ…え〜〜〜っと…じゃあ20ロッチで…」
「20な…ほらよ!」
マキラーはポケットからコイン2枚を取り出すと少年に向かって投げた。
「じゃあな少年!」
「はーい!お気をつけてーーー!」
少年は手を振りながら進む2人を見送った。