愛し愛され 、恋焦がれ

□#6
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     『 方向音痴 』










重い瞼を持ち上げて、目にしたのは何処か見慣れた天井。



『 ……ぅ…。』



まだ全身が痛む。

そりゃ、そうか。

あれだけの魔力を一気に放出させたんだ。

身体にガタが来るのも仕方ない。



右の掌が暖かい。

何故だろう?

僕はまだ眩む視界で自分の右側に目をやった。



『 ……グ…レイ?』



暖かいのはグレイが僕の手を握ってくれているからだった。

ずっと此処に居たのだろうか。

僕の手を握ったまま眠っている。



?「 少しは休めって言ったんだけどね?」



反対側から聞こえる声に反応して首を動かす。



『 ……誰ですか?』



サングラスを掛けてスーツを来た橙色した髪を持つ見慣れない男。



ロ「 初めまして、僕はロキ。ルーシィと契約している精霊だよ。」


『 初めまして。僕は……』


ロ「 ネルちゃん…だよね?僕、可愛い子の名前は直ぐに覚えるタチなんだ。」


『 …は、はぁ。』



な、なんだこの堂々としたセクハラ紛いな発言はっ!



ロ「 少し前までは僕も妖精の尻尾の一員だったんだけどね?君は6年間、姿を消していたみたいだから僕の事は知らないと思うけど……これからは仲良くしようね!?」


『 きゃあっ!!ちょっ、ちょっと!!』



いきなり抱き締められたぁっ!?

今度は正にセクハラ!




 
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