徒然なるままに

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白い天井。

これで二度目だ


病院…




「うッ…」




起き上がると激しい頭痛が襲ってくる

まるで記憶が甦るかのように






「大丈夫?アカネちゃん…」
「カカシさん」


何事もなかったかのように笑顔で声をかけてくれる




「イタチさんは?」
「ちょっと私用でね。席を外しているよ」
「そう…ですか…」




せっかく思い出したのに



イタチさんがいないだなんて寂しい





「あたし思い出したんです」
「…」

「でも全部じゃないんです」
「…そっか」

「カカシさんは何か知っていますか?」
「…オレは…」

「お願いします…もうこれ以上苦しむのは嫌なんです」





なんだか手遅れになりそうで





カカシさんは少し悩むように難しい表情をしていた





「アカネちゃんはどこまで思い出したの?」
「イタチさんがあたしを紅憐華に封印した…」
「…」

「何故か…までは覚えていないけど。
任務中にあたしが襲われて捕獲されかけたんです」
「誰に?」
「わからない…」
「ま、そこは無理しなくてもいいんじゃない」





ポンポンっと頭を撫でられる


そう…だよね



無理に思い出そうとすると頭が痛い







「アカネちゃん 君はね。
以前はイタチと恋人同士だったんだよ」

「—————!」







あたしと、イタチさんが?
なんとなく思い出してはいたけど
本当にそうだっただなんて…





「誰もが憧れる存在だったよ」
「…」




過去形。
それはそうだよね
あたし記憶がなかったんだもん






そっか
だから時々…
あんなに悲しい顔をしてたんだ…

初めてのデートの時も
傷の手当てしてくれた時も





「でも…どうして教えてくれないんですか」
「記憶のない子にどー伝えるの
逆に混乱を招くだけだ」

「あんなに…悲しそうな顔して…
自分の心を隠して…絶対に辛かったと思う」
「—————オレらは忍びだから」




忍び耐える者




たとえ任務でなくても
それをしないといけないんですか?




記憶のないあたしでも
それをこなすなんて自信がない




イタチさん…
なんで、なんでそこまで…








カカシさんは複雑そうな顔をしていた





…あたしの記憶がないばかりに
こんなにたくさんの人々を傷つけている

あたしがみんなに迷惑をかけている



そう思うと頭がズキズキした






あたしが存在しなければイタチさんをこんなに苦しめるキッカケにはならなかっただろう





なんて。考えてしまう






ポンっとカカシさんに頭を撫でられる






「そんなに自分を責めて楽しいかい?」
「あ、いえ…そんな…」

「アカネちゃんが考えているより
世の中そんなに難しいことになってないよ
アカネちゃんが居るからオレが君の側にいられる
アカネちゃんが生きてくれるだけでオレは幸せだから…
そんなに悲しまないで」

「カカシさん…」




ぎゅっと抱きしめられる

あたしの存在を認めてくれる

そう思うと心強かった









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