徒然なるままに

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「—————アカネか」
「お邪魔します 三代目」





三代目の書斎にて





「何かあったのかのう」
「色々ありありですよ!」


「三代目…あたしに何か隠していませんか?」
「…まぁ、色々とな」

「なんでですか」
「お前の為なんじゃ」
「それ皆、言っています!聞き飽きた」





ドザァッとソファーに腰掛ける




「大人はみんなそう。
あたしは子供で、初対面の人なはずなのに…
どうしてみんなあたしのことを知っているの?」

「…」




「みんな…あたしの知らないあたしを知っているのは…なんでなの…」
「…」








—————アカネは昔から何でも…
—————どこにも行くな
—————アカネ… 君は 何も…
—————いや、お前があのアカネなんだって思ってよ
—————なんでもねぇよ…








今までの心に引っかかった言葉が頭の中をグルグルと回っていく




じぃっと三代目を見つめると困った表情でため息をする







「そろそろ潮時かのう・・・」




ふぅ〜っとキセルを置く




「アカネ これから言うことを正しく受け入れることが出来るか?」
「…なるべく」




「一つだけ言っておく
お主は他のことは違う
血系限界に守られておる」
「…」

「だが、それを恨んではいけない
藤宮の血に守られておるからじゃ」
「…どういう…」

「アカネ、お主は元々大人じゃったのだ
しかしお主の心身ともに危機に面したとき、その血系限界がお主を守る」
「??」

「そうじゃのう…大人から子供に戻るには数年かかる…
そして時折記憶を無くす」
「記憶が…」




「今回お主は記憶がなかった
じゃから、普通の生活を送らせてあげたかったのじゃ…
再びアカデミーに入って、忍びとなり、幸せになって欲しくてのう
…それ故、里の者たちにはこの件を禁句としたのじゃ」
「あたしのために…」






イタチさんは知っていたんだ
でも言えなくて辛かったんだ
だからあんな悲しい顔を…




—————アカネのために
そう彼が言っていたのを覚えている



昔三代目が言っていた
「第二の人生だ」って
そういうことなのかな







「イタチさんがいつも悲しい顔するんです
その理由が分かった気がする」
「そうじゃのう…、あやつはお主を良く知っている。不思議なほどにな…」

「昔、あたしはイタチさんと何かあったんですか?」
「ワシにもそこはわからん… イタチに聞いてみることじゃ」
「そそそそそそそんんんんなこと聞けるわけないじゃないですか!!!」








—————————どうしてそんなに悲しい顔するんですか?
なんて聞ける訳ないっしょ!







デリカシーの欠片もないわ!







「ワシもお主のすべてを知っているわけではない…じゃが。」
「?」

「うちはと藤宮には切っても切れぬ縁が深い」
「えにし…」





なんのことだろう
この間イタチさんが教えてくれた事とか?




三代目はフゥ〜っとキセルを吹かす





「お主に見せようか悩んでおることがある」
「悩んでいること?」

「すべてを知るには今回が良いのかもしれぬ…
付いてくるがよい」





三代目はゆっくり立ち上がり
あたしを案内した









******











「…おや 三代目」
「おぉ、カカシか…どうじゃ彼女らは」
「だいぶ回復に近づいているみたいですね」



にっこりと笑うカカシさん
…こんなに爽やかなカカシさんは初めて見たかも





「あらー アカネちゃんじゃなーいの!」




見つかった←

サッと三代目の後ろに隠れる





「あらあら 隠れちゃって可愛い〜v」
「ぎゃー!離してください!カカシ変態!」




むぎゅううううううっと力強く抱きしめられる
これはハグなんかじゃない!
殺す気か—————!!!!






「その辺にしておけカカシ
アカネと話が出来んわい」
「わかりました でも抱っこはいいですか?」
「良くないッ!」



キリリっとした顔でお姫様抱っこ
バタバタ動くが大人には敵わない



「…まぁ、好きにするといいじゃろう」
「(三代目に見放された!)」
「わーい!オレの腕の中でゆっくり休んでねv」
「休めるか!」






三代目の目の前でこんな堂々としたセクハラは逆にすごいよ!
その度胸は尊敬するわ!






「アカネ、これをみるんじゃ」
「—————!」





女の子が4人ベットの上で眠ている
術式医療なのか…
彼女らの身体やシーツ類に床まで
…まるで血で書かれた文字が並んでいる




「彼女らは結界忍術で守られている」
「…なんにですか?」
「あれじゃよ」





普通に眠っている彼女らに違和感があった

胸にキレイな一輪の花




その花から彼女らへ
命を与えているみたいだった






「…新しい医療忍術ですか?」
「……」
「……」




「アカネ 何も覚えておらんのか?」
「え…?何をですか?」
「本当に見覚えはない?アカネちゃん」







———————————コレハ アタシガ シタノ ?







「やッ…やだぁぁぁ!!」
「死にたくない!」
「助けてよッ…」
「や、やめて…藤宮さん…」








頭の中で遠くからそんな声がした


紅憐華…


そう、確か そんな術だった









「あたしがやったんですね」
「…」
「—————!」


しゅるるるるっとあっという間に髪が伸びた
毛根から毛先までゆっくりと紅い髪へと染まっていく




「カカシさん…三代目…」
「−!」
「どうしたんじゃ!アカネ!」





紅い瞳。




「あたし、どうしていいかわかんないよ…」





ツーっと頬に涙が流れる




「藤宮の血はあたしを守ったんじゃない…
あの子たちを殺そうとしたッ」
「落ち着くんじゃ!アカネ!!」

「あたしが子供に戻ったのは…あたしが…」
「アカネ大丈夫だよ 彼女らは生きている」




ボロボロと涙があふれ出てくる





憎い


この藤宮の血が…






「アカネ戻ってくるんじゃ!」
「…アカネ すまない」







カカシさんの左目


あたしと…同じ…紅い…瞳…







フッと暗闇に意識が持っていかれた








******
「全く…三代目 アカネにアレは刺激が強すぎますよ」
「しかしのう…あれ以上被害者を出さぬためにはアカネにも知ってもらわぬといけないのじゃ」




ソファーに横になるアカネはいつもの黒髪に戻っていた
…長さはそのままだが…





「御呼びでしょうか?火影様」
「おお イタチか 待っておったぞ」




三代目はイタチに事の経緯を話した




「…それはアカネも辛かったでしょうね」

「カカシの写輪眼でなんとかなったが…」

「アカネちゃんにはまだ感情のコントロールは難しい…かもですね」







涙の痕を拭いながらカカシは呟く





「今後も二人にアカネの護衛を頼む」
「はい」
「もちろんです」









******












「ねぇ」
「どうした」
「あたしのこと愛していると言って」
「…愛している」
「嘘でもうれしい ありがとう」
「…」
「ねぇ…この戦いが終わって
木の葉に平和が来たときは…」









—————————約束してね・・・・






















もちろんと言ってくれた彼は
今のあたしをどう思っているのかな…





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