徒然なるままに

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どうやら長い夢と比例して
長い間眠っていたらしい

起きれば放課後






ゲンちゃんから「普段寝てねぇのか」とあきれていた

お見舞いにと何人か押しかけてきたらしいが追い返したとのこと

なんだかんだゲンちゃんってば優しい

ゲンちゃんが家まで送ってくれると申し出てくれたが、さすがに申し訳ないので断った




医務室を出てボーっとした足どりで教室へ向かう




荷物持って帰らないと…
しかし、お腹すいたなぁ
なんだかんだお昼食べてないし




重い足取りで怠く教室を開ける



—————ガラッ



「…」
「…」

「あ、すません。教室間違えました」


—————ガシャン





奥から二つ目の教室であっているよね…


アレは幻だったのだろうが
そうだ きっと幻に違いない
あたしは寝ぼけているんだ…



もう一度チャレンジして扉を開けると…





「なにしてんだ」
「わー!!!!!ごめんなさい!この通り!」
「……」





少しご機嫌斜めのうちはサスケ君が



「あの…教室間違えていますよ」
「アカネを待ってたんだよ」
「え?なんで…」
「聞きたいことがある」





そういうとサスケはあたしの手を取り教室へ連れ込んだ
ピシャリっと教室の扉が閉まる




え…なになに… 超怖いんだけど





「演習中なにしていた」
「木登りして身を隠していた」

「…じゃあそのガーゼはなんだよ」
「!…何でもない!滑って転んだだけ…」
「…」





ギロリとサスケはあたしを睨む
まるで本当のことを知っているみたいに
「どうしてオレに嘘をつくんだ」って顔してる





怖い怖い!ひええええ!!!





サスケは黙ってあたしの頬に貼られた大きなガーゼを外す

生々しい刀傷が露わになる

あたしは何も言えなかった





「かすり傷じゃねぇよな」
「…」
「誰にやられた」
「…」
「聞いてるのか!アカネ!」
「…ッ」





言えるわけがない
知らない女の子にやられましただなんて
そんなダサい言い訳… 言えるわけないよ





「じゃあ質問を変える」
「…」
「アカネは演習終了までいなかったよな?」
「い、いなかった」
「…」
「傷の処置…してもらってた」
「…」





さすがにこの質問は嘘も黙秘権も使えない…

きっとサスケは演習終了後あたしを探したはずだ
いなかったからこんなこと聞いているに違いない…





「シカマルに医務室に連れて行ってもらって…処置してもらって…
先生が休んで行けっていうから今まで休ませてもらっていたの…」
「そうか… 悪かったな」



サスケは再びあたしの傷を隠す




「心配してくれてありがとう」
「…」
「ほら、あたし大丈夫だから!」
「オレがいなくても大丈夫なんだな」
「え?」




「オレは悔しい。
アカネのその傷も…オレが側にいればアカネを守れたんじゃねぇかって思ってた
でも…アカネはオレがいなくても大丈夫って…
なんのためにオレがいるのか…」

「ちょ、ちょっとサスケ…?」






「アカネが大丈夫でも
おれは大丈夫じゃないんだよ!」



「ッ!」





予想外の言葉






「あ、ありがとう。そこまで考えてくれて」
「アカネ、もっと素直になれよ」
「え」

「辛い時は辛いって認めろ
今のアカネはアカネじゃない
何をそんなに我慢してんだよ!」
「…」

「いつもの顔じゃねぇんだよ…
自分さえ我慢すればいいとかそういう考えは捨てろ
—————————見ているこっちが辛いんだよッ!」
「…サスケ」

「…オレを頼れよ」





あたしの両肩を掴んでサスケは訴えた





あたしそんなに無理していたのかなあ
顔に出ていたのかな

どうしてサスケはそこまでしてくれるんだろう






嬉しい
嬉しいよ でも…







サスケに甘えていいのかなって
凄く戸惑うあたしがいる




今まで一人で耐えてきたあたし
本当は辛い心を持つあたし
悲しいという感情を隠しているあたし




サスケはそういうのを見抜いている



わかっているよ
でも、でも







これを認めたら自分自身が弱くなっちゃうんじゃないかなって




そんなこと考えていたら
涙が頬を濡らした






「あ、あれ何で泣いているんだろう…」
「…」

「サスケに言われて気付いたからかな
…不思議。自分が知らない自分を見抜かれているみたい」
「…」





サスケに抱かれ、包み込まれる





「オレのせいでアカネに辛い思いをさせているのは知っている
申し訳ねぇって思ってる」
「どうして?サスケは何も悪くないよ」





全ては彼女らが勝手に行ったことなのに
彼女らはサスケが好きで
ただその気持ちがあたしに向いただけで…


そんなの頭では理解していても
やっぱり辛いものは辛い





サスケ知っていたんだ…




「…オレが近づけば近づくほどアカネが辛い思いをするなら
オレはそれを何とかする だから心配するな
「なんとかって…」

「アカネがオレに頼ればいい」
「なにされたか教えるの?それこそ今度どんな目に合うかわかんないよ」

「大丈夫だ」
「な、なにが」

「アカネがオレの側にいればそいつらは手が出せない」
「…ッ」





そりゃあそうだけど
でもクラスも違うのに…




「だからオレの側から離れるな」
「…う、うん」




そういうことか
ありがとう サスケ




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