徒然なるままに

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※アカネ視点


医務室の先生は男嫌いの背の高いお兄さんだった




「なんだよ、二人そろって頬に血付けて…ケンカでもしたのか?」
「ケンカなんかしてないですよー」
「じゃあなんでだ?」
「頬っぺたくっつけたら伝染しました」
「なんだテメェらリア充か?自慢しにお兄さんにわざわざ見せつけに来たのか?あ?」




なんでこの人キレ気味なの…
長い楊枝をタバコみたいに加えてて危ないし、怖いわぁー





「先生!頼むよ!アカネの傷治してやってくれ!」
「だーかーらーオレは男が嫌いなの」



シカマルからプイっと顔を背け、あたしのところにやってくる先生



「刀傷か」
「ピンポーン!クナイ投げられてさー」
「そんなに深くはなさそうだが」
「止血もしてるけど傷跡残したくなくて」
「そうだなー女の子に顔の傷跡は可哀想だもんな」



すーっと傷口をなぞる先生
止血はしててもヒリヒリとやっぱり痛い




「処置してやるからこっちに来い」
「はーい」
「それとテメェは顔洗ってさっさと演習に戻るんだな」
「なッ!付き添うくらいいいだろ!」



食い下がるシカマルに先生はデコピンを食らわせる




「ここは医務室だ。病人、ケガ人以外は出て行ってもらおうか」
「…わかったよ、めんどくせぇな」



仕方なく出入口へ向かうシカマル




「変なことされるなよアカネ」
「オイ、テメェ…オレがロリコンってことか?」
「OK−!シカマルより変なことされないと思うから大丈夫ー」
「お前ら等どんな仲なんだよ」



最近のガキはマセてんなーと呟きながら物品を準備している先生をじーっと見ながらシカマルは渋々出て行った





「ほら、傷口見せてみろ」
「ん」


湿った冷たい綿球であたしの頬をなぞる


うぅ、ヒリヒリビリビリ痛いよう。。。




そして傷口用のテーピングで丁寧に傷口を閉じ、つなぎ合わせていく
頬の傷口に沿ってガーゼとテープで固定される




「ほら。終わりだ」
「ありがとうございます」


鏡越しに見ていたけど処置は丁寧でキレイだった



…案外神経質?





「んで?お前の名前はなんだ?処置簿に書かなきゃなんねぇんだよ」
「藤宮アカネ」
「ん…藤宮アカネ…あ!?藤宮アカネだと!?」






デスクに座って記録をしようとしていた先生が秒であたしの元へときた


ちょ、早すぎてビビった…
長い楊枝があたしに刺さったらどうするん!?
先生はあたしを頭の先から足の先までジロジロ見る





「な、なんですか」
「いや、お前があのアカネなんだなと思ってよ」
「どういうことですか」
「いや、なんでもねぇ」





ほらほら出た
大人はみんなそう
あたしを知っているくせにはぐらかす





「知っているなら教えてくださいよ」
「だーかーらーなんでもねぇよ」
「嘘つき!」
「嘘じゃねぇ」
「本当のこと言わないとそのハゲ隠し取り上げますよ!」
「ハゲ隠しじゃねぇ!!こりゃあ額あてだ!!」
「うるさい!おかん巻き!家政婦…いや家政夫め!」
「なんでお前はそんなに口が悪いんだ」



ケガしていないほうの頬っぺたを引っ張られる



「あたたりゃ…ごめんなひゃい」
「わかればよろし」






思いっきり引っ張って放すなよもー…
痛たたた…




—————暴力反対。ダメ。絶対。







「オレはハゲでも家政婦でもねぇ
不知火ゲンマって名前があるんだよ」
「…ゲンちゃん…」
「幻滅したみたいに言うな!それに馴れ馴れしいわ!」




ゲンちゃん面白い…←




ったく、とイスに深く腰を掛け、処置簿の記録に取り掛かるゲンちゃん







「とりあえずアカネは演習が終わるまでここで休んでいくと良い」
「え?いいの?」
「あの出て行ったガキはそうさせたいみたいだったぞ」
「(だから付き添うとか言ってたのか…)
あ、あたし何ともないから大丈夫なのに…」






ピタリと走らせていたペンを止めゲンちゃんは再びあたしのところへ来た



「あばばば」
「おとなしくしてろ」



ゲンちゃんにお姫様抱っこされた
そしてそのままベットへ連行される



「ゲゲゲのゲンちゃんんんんんん!?」
「いいから黙ってろ」




ドサッと雑にベットから落とされる



ゲンちゃんんんんんん———!?




「オレがアカネのこと全く理解していないと思うのか?」
「ゲ、ゲンちゃん…」





顔近い 顔近いいいいいい!!!!
あたしは全身(主に顔)に熱が帯びるのを感じた
きっとリンゴの様に赤くなっているんだろう





あたしはゲンちゃんの両腕から逃げ場をなくされ、所謂壁ドン状態に。






「やったらキリねぇからやってねぇが…全身のかすり傷。どこから落ちたんだ?」
「ぐばッ」
「確かかくれんぼ演習のはずなのにアカネの頬には生傷があるんだ?」
「ぐばばッ」
「ほらな、オレは何でもお見通しなわけ」
「ま、参りました」





そりゃあこんな状況でそんなこと言われたら降参ですよ…逃げ場なし。





じぃッとゲンちゃんはあたしの瞳を見る
それに引き込まれるようにあたしは目が離せないでいた


ゲンちゃん死んだ魚のような眼だと思っていたけど…案外きれいかも





「と、まあそんなワケだ。ゆっくり休んでいけや」
「は、はい…」




ゲンちゃんは壁から手を放しあたしから離れていった






こ、腰抜けた…


大人ってずるい…






「なんだ、ベットでの寝方も知らねぇのか?オレが教えてやってもいいんだぞ?」
「どーゆー意味よ!け、結構です!!!」




あたしはキッパリ断りベットに潜り込む


ずるいずるい!本当に大人ってずるい!!!
布団をかぶり、顔も身体も隠す

ゲンちゃんがフッと笑い「おやすみ、お姫様」ッといった気がした









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