徒然なるままに

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「だーかーらー!アカネちゃんはオレと一緒に隠れるって言ってるんだってばよ!」
「うるせぇ!アカネがバカルトと組んだら補習組確定じゃねーか!」
「ワンワン!」
「あー…はいはい」
「お前ら聞いているのか?」
「聞いてます聞いてます」



演習前講習中。
あたしを挟んでキバとナルトのケンカが勃発





多分先生の「お前ら」には、あたしも含まれていると思うので返事をしておいた



「全く君たちはいつになったら落ち着くのか…」と呟く先生。
多分当分落ち着かないにあたしは一票入れるとする





二人はあたしの腕を片方ずつ引っ張り合い中
痛たた……腕もげそう…



「アカネが痛がってるだろ!いい加減離せよ!バカルト!」
「うるせぇ!獣集がするからアカネちゃんってば困ってるんだってばよ!」
「い、いいから…あたしを解放してくれ」
「「あ、ごめん(ってば)」」





 二人の勢いを急に無くしたら…
体がふら付くあたし。
うーん、急に話すなよ…具合悪…


もういいや、
このまま地面に横になろう…





ポフッ…





あたしの望みとは裏腹に誰かに後ろから支えられる





「ありが……と…」
「…」
「あ、いや…スミマセン…」




うちは サスケくん(はぁt でした





どうやらフラツクあたしを支えてくれたらしい



「なにやってんだテメェら」
「あああああああああああ!サスケじゃねーか!」
「抜け駆けは許さねぇってばよ!」
「…な、何も言えないっす…」





キバやナルトが叫ぶと共に
女の子たちの「きゃー!サスケ君―!」の声が響く
そういえば演習直前でしたね…





「ちょっと!ナルト!キバ!アカネ!
あんた達のせいでサスケ君迷惑してるじゃない!」


キーキー…ギャーギャー…
動物園かな、ここって。




たじろぐ二人に、へいへいと流すあたし
フラツキも取れたので「ありがとうサスケ」と離れようとすると、服の裾を引っ張られた


そして耳元で「朝の約束」と囁かれる





「オレの側から離れるな」





え?今ここでそれ発動なの?

まるでサスケに首輪でもつけられた気分





「あー、覚えてるよ?え?今ここで?」
「…」



コクリと頷くサスケ
これなんて言う拷問??





すると
「アカネ!大丈夫??あたしたちが支えてあげるから…立てる?」
といのちゃんとサクラちゃんが力を貸してくれた



万事休す。
免れる。
女友達って素敵…



のちに聞いた話
女子たちの恨み辛みの視線がやばかったとのこと

まぁ、だからと言ってなんだと言えば終わりかもしれないが二人の気遣いは嬉しい





「お前らいい加減!先生の話を聞けぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


イルカ先生の怒鳴り声が鶴の一声となった。




*****





「よし、なんとか撒けた」


ナルトやらキバやら振り切って
ようやく一人になったあたし



木を隠すなら森の中————





昔、誰だったか忘れたけど木登りでのチャクラコントロールを習っていたのですいすいと歩い木登りしていく

うむー…そおいえば誰だったかな

そんな事を考えていると下のほうから生徒たちが先生たちに捕まっていく声がした



太い幹にしっかり足をつけ静かに身をひそめる



んー、あれはイルカ先生か





見つかった子はどうやらナルトみたいだ
「見逃してくれってばよー!」なんてセリフが聞こえてくる


可愛い過ぎるでしょ!ちょっと!
思わず声が出そうになったのを必死に抑える





—————ナルト離脱。






息をひそめていると、いつの間にか二人は居なくなっていた





取り敢えず5m程登ったところで大きな枝に腰を据える



うーん…しかし、木登りを教えてくれたのは誰だったかな


演習が終わるまで40分
それまでに思い出せるといいな…





なーんて考えていたら
あたしの頬をクナイがかすめた


ツーッと新しい傷口から鮮血が流れる





「やっと探したわよ 藤宮アカネ」





下を見ると女子4〜5人くらいか
あー、またこのパターン…



「降りてきなさい!わたくしが貴方にアカデミーでのルールを教えて差し上げるわ!」



なにこのお嬢様キャラ。
キッツイわ〜





クナイでかすめた髪がハラハラとゆっくり落ちていく

っていうか声かけんな
先生に居場所バレるだろ



とりあえずシカトする



うーん上手くジャンプ出来れば隣の木々に移れるかな

ピョンピョンと木々をジャンプしていく
毎朝の新聞配達で鍛えた脚力なめんじゃねー!

「待ちなさい!」なんて声が聞こえるけど待つわけがない





あんなのとは関わらないのが一番…





—————バキッ



しまっ…




足の踏み場、間違えた…


あたしはそのまま逆さに落ちていく



あの子たちは助けてはくれないだろう
着地の受け身をとるのもしんどい





「影真似の術!!」





すーっと黒い影が伸びてきたかと思えば、あたしの身体はピタリと空中で止まっていた





「え?…これ、どういう…」
「アカネ!!しっかりしろ!この術修行中だからもう持たねぇ!」
「———!」


ふと視線を落とせば


「シカマル?」
「オイ!大丈夫か!?…あとは自分で何とかしろよ!」





地上まで2m程。




「わ、わかった!」
「も、もう無理かッ」
「シカマルー!」
「!?」





プツンと影が消えた瞬間



ドサァァァァ…





シカマルの上にダイヴした

突然降ってきたあたしを待ってたかのようにしっかり抱きしめてくれた





駆け付けた女子たちが
「キャー!不純異性交遊よ!!」
なんて言いながらパシャパシャ写真を撮ったりなんだりしていた




「テメェらが最初にアカネに手を出したんだろ。よくそんなことが出来るよな」
「うぅー痛ぇ…シカマル、大丈ッ」



余計なこと話すな
と、でも言うように唇に人差し指を当てられた





「わたくしたちより藤宮さんがルールを守らないからよ」
「はぁ?何のルールだ」
「わたくしたちのサスケ君ファンクラブルールよ」
「(あたしには全然関係ないやつ)」

「オレらにはそんなルールいらねぇな
嫉妬ならコイツに当たるんじゃねぇよ
直接サスケに異議申し立てするんだな」
「なんですって!!!」

「大体、アカネよりサスケの方から話しかけている割合が多いんだからな」
「(え…?そうなの?)」



彼女らはぐぐぐっと歯を喰いしばる
返す言葉がないようだ



立ち上がったシカマルはあたしに手を伸ばす
その手を取りゆっくり立ち上がる





「大丈夫か?」
「う、うん…シカマルのおかげで」



しっかり受け止めてくれたから…




「無理すんな あんな高さから落ちたんだ」
「い、いや 本当に大丈夫だから…」




頭をよぎるのは
あの時シカマルとキスしたこと


一気に顔が赤くなるのが分かった





「……」
「アカネ、顔赤いぞ?やっぱり熱でもあるんじゃねーのか?」



朝と同じようにシカマルの手のひらが…





「ッ!!!?」
「やっぱりこれが分かりやすいな、熱あるみてぇだ」



あたしとシカマルの額がくっついた

まるで彼女らに見せつけるかのように



ドクンドクンと胸の高鳴りというか、脈打つ速さが自分でもよくわかる

何故だろう? 皆がみてるから?





ボーっとしている間に、手際よくシカマルがあたしを背中におんぶしていた





「や、ちょッ…!」
「アカネ、とりあえずオレらはリタイアだ。医務室に行くぞ」
「歩ける!歩けるから降ろして!シカマル先輩!」
「あ?何言ってんだ、面倒くせぇな…病人、ケガ人は静かにしてろってーの」



無理やり降りようにも、しっかりホールドされているので出来なかった



————案外、力強いんだな。
やっぱり、シカマルって男の子…なんだなって思う







「ちょっと!あんた達どこに行くのよ!わたくしの話を聞きなさいよ!」
「医務室————。イルカ先生にも伝えておいてくれよなー」





ぶっきらぼうで面倒くさがりのシカマルがあたしをおんぶ…
そして彼女らを適当に流すのもシカマルらしい…






あたしは身体をシカマルに預けることにした




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