徒然なるままに

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「紅燐華はどうじゃ?」
「徐々に枯れつつあります』

「解術書の効果が出てきておるのう」



三代目はベットの上に休まる少女たちの顔を覗き込んだ




「生命が枯れずに良かったわい」
「紅燐華が枯れ次第、神経系に絡み付いた根を取り除く手術を行おうと考えております」
「ふうむ」




紅燐華の花びらが一枚、床に落ちていく




「幼き少女らを救えたのも、うちは一族があってこそじゃ」
「はい、彼らには結界忍術から紅燐華の治療まで…たくさん協力していただきました」

「これほど多くの血を使ってしまったことには申し訳ないのう」




少女らの身体中に、うちはの血で書かれた術文



紅燐華は血で書かれた文字に命という養分が吸収され、少女らの体内へと戻っていく


血の気が引いた青白い顔から、温かみのある顔色へと変化していく




「それにしても…何故、彼が解術書を持っていたのでしょう?」
「…イタチか」
「極秘任務での探索だったのでは?」
「そうじゃ。それが、何故あやつが持っていたのか、ワシにもわからぬ」




フゥーっと、三代目はひと息つく




「イタチが持っていたからこそ、助かったのもある。深く追及するのはまた後にしようではないか」
「…しかし…」
「イタチには辛い思いばかりさせておるからのう」
「………」



「藤宮とうちはは切っても切れぬ縁が深い」




******




「おはようごさいまーす」



AM4:00




久々の新聞配達。
ガララっと事務の引き戸を開ければ「おおー、アカネちゃん来てくれたか」と店長がニッコリ笑って迎え入れてくれた。




「すみません。連絡もせずに長い間休んでしまって…」
「気にすんじゃねぇよ!身体はもう大丈夫なのかい?」

「はい、特に問題なく大丈夫です」
「そうかい、それはよかった」

「あの、これはほんの気持ちですが…」
「そんなに気ィ遣わなくていいのによう…お菓子だなんて。全くアカネちゃんは本当に真面目だなぁ」



「ありがとうよ」と言いながら甘栗甘の木葉饅頭を受け取ってくれる店長




すると部屋の奥から「あら〜!アカネちゃん久しぶりねぇ」と店長の奥様がニコニコしながら現れた




「長い間おやすみしてご迷惑おかけしました」
「いいえ、気にしなくていいのよォ。
…今日からアカネちゃんが復活っていう事は、彼はもう来ないのかしら?」

「彼?」
「あぁ、アカネちゃんが休んでいる間、代わりに男の子が来てくれてたんだよ」
「男の子・・・?」




え、私の代わりとか誰が勤めてくれていたんだ
そんな話初耳なんだけど、ってか誰!?



「お名前は何とおっしゃる方なんですか?」
「えーっと、確か…うちはー…」
「サスケ君よぉ!」
「そう、その子だ!」
「さ、サスケですか!?」




退院の時に迎えに来てくれてたしなァ…



しかし、彼は一体どうやって私の個人情報を得ているのか気になるところだけれども…




「もうサスケ君に会えないのは寂しいわねぇ」
「仕事の覚えも早かったしなァ」
「あ、もしかして二人とも私よりサスケが良かった感じですかね?」



そんな事をぼやいてみれば「「そ、そんなワケねぇだろ(ですわ)」」と口を合わせて否定してくる夫妻



本当、仲がいいから羨ましい。




「そんじゃあ、アカネちゃん。いつもの頼むね」
「了解です!」



どっさりと新聞を抱え込む
久々の新聞はずっしりと重たい




「いってきまーす」と元気に扉を開ければドン!と誰かにぶつかってしまった



「あいたたた、すいません、よそ見してて…お怪我はありませんか?」
「…アカネ?」
「さ、サスケ!?」




顔をあげれば少し驚いた表情のサスケがいた



「…」
「あ、私が休んでいる間、代わりにお手伝いしてくれてありがとう」
「もういいのか?」
「うん。元気!元気!新聞配達でもして病み上がりの鈍った身体の調子戻さないと」




するとサスケは黙ったまま周りに散らばった新聞をかき集め、なおかつ私が持っていた新聞を半分ほどもってくれた




「ありがとう…って、何してんの?」
「手伝う」
「え!?いやいやそんなの悪いから!」
「このまま帰ってもすることがない」
「そ、そう言われてもなァ…」
「それならオレと勝負しろ」
「えー?!何この展開!?」



サスケは口角をあげニヒルな笑いをして言った




「オレはうちはの集落、アカネは木の葉の繁華街。早く終わった方の勝ちだ」
「う…。負けたらどうなるのさ」
「そうだな…勝った方のいう事を一つ聞くって言うのはどうだ」
「面白そうだけど勝てる自信がないわ」
「手加減なしだ」



サスケはもう一度、ニヒルな笑みを浮かべ、走り出した。



何このフライング。聞いてないよ…





*******




「…遅かったな」
「アンタ病み上がりの人間に容赦ないわね…」



案の定、私の負け


さすがアカデミーNo1のサスケ君

涼しげな表情で新分野の前で待っているとは…



「ルールはルールだし…、潔く負けを認めてサスケのいう事を聞くわ」
「…」




あれ、もしかして何も考えてないとか?




「オレの側から離れるな」
「え?」
「約束しろ」




いつの間にかサスケにハグされている私。
サスケっていい匂いするし、落ち着くなぁ…
…じゃなくて!―何この展開聞いてないよ!?




「ああああああのの、ササササスケ!?」
「…なんだよ」



耳元で囁かれるとくすぐったい…



「ん…」
「照れてるのか?」
「だ、だれが!?…って、」




ふいに視線を感じて振り返ってみれば



「あらやだ、最近の若い子は熱いのねぇ」
「まぁまぁ!オレらの事はお構いなく続けてくれ!」



店長夫婦がガン見していた




あ、そおいえば、、ここって新聞屋の前・・・・




「こここここっこれは誤解です!」
「隠さなくても大丈夫だぜ!アカネちゃん!」
「そういう事じゃなくて!」
「恥ずかしがるアカネちゃんも可愛いわ!サスケ君とそんな仲だっただなんて…。アカネちゃんも女の子だもんねぇ」
「違いますってばァ!…サスケからも何か言ってあげてよ!!!」




サスケに助けを求めるも、彼はその場におらず。

…あいつ、逃げやがったー!!!!!



盛り上がる二人を必死に説得するのに一日中の体力を消費することになるとは。
この時の私は思ってもなかった





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