徒然なるままに

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※シカマル視点



「シカマルー!」
「んァ?なんだよ、いの」




オレがいつもの特等席で昼寝してると、バタバタと走ってきたいのに起こされた




…ったく、なんだよ…
せっかくいい夢見てたのに…




「今日、アンタの家族とチョウジ一家、あたしの家族で酒酒屋で晩御飯食べることになったから教えに来たのよ」
「はァ?また猪鹿蝶会するのかよ…」


「仕方ないじゃなーい、パパ達仲良いんだからー
まぁ、でも酒酒屋の調理美味しいからあたしは好きだけどねぇ」
「美味いけどよ…毎月一回飯会開いてんじゃ、いい加減飽きるぜ」


「あたしはダイエットでそんなに食べてないから全然飽きないわよ」
「ダイエットダイエットって…。
男はみんな痩せてる女が好きってわけじゃねぇぜ」

「なーに言ってんのよ!アンタはそーでもサスケ君は違うかもしれないじゃない!」





オレ、男視点でアドバイスしてやったんだけど…




どいつもこいつもサスケサスケって…

あんなスカした奴のどこがいいのか
オレにはわかんねぇ…





「そーゆーシカマルは、どーゆー子が好きなのよ?」
「はぁ?」




はいはい、出た出た女の恋話。
こーゆーのが一番めんどくせー…




「オレは少しぽっちゃりした奴だな」
「えぇぇえぇー!?マジ信じられないわ!」



声デカすぎ…



「どーしてぽっちゃり系がいいのよ?」
「そりゃあー、ガリガリしてっと骨が当たって痛ぇだろ。
少しぽっちゃりしてる方が抱き心地が良いんだよ」




自分で聞いておきながら、ジト目でオレを見てくるいの。
…ったく、女ってめんどくせー…




「アンタの趣味に合う女の子が現れるといいわね」
「はいはい」



話すのもめんどくせー



「そおいえばさぁ。シカマルって藤宮さんとどんな関係なの?」
「はぁ!?なんだよ、いきなり…」




いのが変なこと聞いてくるから、思わず起き上がってしまった
そんなオレを見ていのが面白そうにオレを突いてくる



「ねぇー、そうなのよー?」
「アカネは関係ねぇだろ」
「隠すところが怪しいわ」



全く、女ってやつは…



「ダチだよ、ダチ。んで、ただの隣の席の奴」
「へぇ〜?それだけ?」

「…同じクラスメイト」
「ふぅ〜ん」




口元に手を当て何やら考え事をするいの




「…なんだよ」

「ううん…アンタ藤宮さんと仲良いからさァ…
言おうか迷ってるんだけど…」
「迷うくらいなら言っちまえよ」



いのは悩みながらも言った



「…藤宮さんが最近アカデミーに来ない理由…知ってる?」
「授業中にケガして入院してるんだろ?」




教師が言っていた

入院の為にしばらく休まないといけないことを




「あたし、その授業藤宮さんと同じだったんだけどさ…
藤宮さん怪我なんてしてなかったわ」
「はぁ?!どういう事だよ」




ケガしてねぇなら、アカデミー休む必要はねぇだろ




「…あの子、ヤバいわよ」
「意味わかんねぇよ」

「シカマルもあまり関わらない方がいいわ…殺されるわよ」
「だから、お前は何が言いてぇんだよ」




何故かはわかんねぇけど。
アカネのことを言われるとイライラする

…早く結果を言えって―の・




「隣のクラスの女子三人。
藤宮さんが入院に追いやったのよ…
何の術を使ったのかわからないけど…一瞬で大木が枯れていったのよ!?
しかも、その子たちの身体に花が手裏剣か、クナイみたいに刺さってた…まるで、その子たちの生命力を奪うかのように成長していたわ…
藤宮さんが使った花は人の命を奪うような花じゃないし…それに」

「…なんだよ」



「髪が燃える様に紅くてさ、視線もすごく冷たいの
…まるで人を殺めるのを何とも思っていないみたいな…」
「………」



「最後は先生が助けてくれてさ。
藤宮さん暗部4人くらいにどこかへ連れて行かれたのよ。
…医療班の人達も血相を変えて女の子たちを運んで行ったわ
とにかく、藤宮さんには近づかない方が身のためと思うわよ」

「…そうかよ」




意味わかんねぇ




「ちょ、シカマル!人の忠告くらい聞きなさいよー!」
「オレは自分で見聞きした事しか信じねぇ」

「何言ってんのよ!危ないわよ!?」
「アカネは簡単に人に手をあげるような奴じゃねぇ」
「!」




オレはひとつため息をする




「いのが言っていることが嘘だなんて否定しねぇよ。
アカネは変な奴等に絡まれても適当に流すような奴だ。アカネがそうなっちまうほど、そいつがアカネに何かしたんだろう」
「そ、そうかしら…」




「アカネは自分から相手に攻撃的なことはしねぇよ。
いのはアカネと絡んだことねェから知らねぇんだよ」
「…」




「オレはオレ。いのはいの。
アカネに対してどう接するかはオレが決めることだ」




「シカマルって藤宮さんの事になるとムキになるわよね」
「はぁあ?」



話、変わり過ぎ。




「もしかして、藤宮さんの事好きなの?」
「何言ってんだよ!?」

「はは〜ん?その焦り具合は怪しいわね…
まぁ、シカマルが好きって程の女の子だから、…あたしがちゃんと見ていないだけなのかもしれないわね」
「おいおい、何勝手に話が進んでんだよ」




いのは「何でもない」と言い
「18時に酒酒屋集合だから〜!」と帰って行った





…スゲー騒々しいやつ。


また一つため息をして横になる





――髪が燃える様に紅くてさ、視線もすごく冷たいの
―――…まるで人を殺めるのを何とも思っていないみたいな…





…そんなの信じられるかよ。



いのの言葉が頭の中をかき乱す




その反面。
一緒に過ごしたアカネの笑顔が脳裏をよぎる





オレって、アカネのこと…


いやいや!落ち着け!オレ!
いのの言葉の魔術にかかりかかってんぞ!



無意識に頭をブンブンと横振っていたオレ。




パッと目を開ければ空と雲が広がる


――――はずだった。




「あ、シカマル」



目の前には2週間姿をくらましていたアカネがいた





******
※アカネ視点




サスケが家に来てからというものの
何もする気にはなれなくて



サスケが帰ってしばらくして、なんとなく外に出てみたけど行く当てもないのでシカマルの特等席に行くことにした




あそこなら、のんびりできそうな気がしたから





久々の外出。
もう昼を過ぎの空は日差しが強く肌に強く刺さりそうだった




屋上に上がる階段をのぼって行くと淡い金髪の少女とすれ違った




ショートヘアーで活発そうな女の子


すれ違う際、その子と目が合った…気がする。
そして彼女はニッコリと笑ったまま階段を走り去って行った




…誰なんだろう?



私のこと知っているのかな?
すごく愛嬌のある女の子だった
…可愛かったなァ。




またゆっくりと階段をのぼって行くと間もなく屋上にたどり着く


平らに設けられたベンチには見たことある人物が。




「あ、シカマル」




そう呼べばいつもの髪型がふわりと動いた。
…と思えば、大きく跳ねる




「…アカネッ?」




シカマルは飛び跳ねる様に起き上がった




「てっきり寝ているかと思っていたのに…やっぱり狸寝入り?」
「んな訳ねーだろ。起きてたんだよ」
「へぇー、珍しい事もあるもんだ」



座っているシカマルの隣に腰を掛ける




「ってか、お前今までどこに行ってたんだよ」
「良くわかんないけど入院してた」

「はァ?意味わかんねぇ」
「そお言われてもなァ…」

「怪我してたんじゃねぇのか?」
「怪我?そんなのは全くなかったけど…?」




両腕、両足を見てみたけれど、怪我なんて一切なければ痛みもないし。




「…本当にか?」
「なんで疑うのよ」




シカマルが私の腕を掴んできた




「ど、どうしたの?」
「…いーや」




私の身体を調べる様に見てくるシカマル




「怪我してねぇんだよな?」
「う、うん」




そっとシカマルの手が伸びてくる




「…?」
「アカネの髪黒いよな」

「黒いとダメなの?」
「いや…」




シカマルは私の髪で弄ぶ。
少しくすぐったい…




「?」
「…」

「どうしたの?シカマル…しんみりしちゃってさぁ。
あッ!わかった!私がいなくて寂しかったんでしょ!?」
「あぁ、そうだな」

「でしょー?やっぱりー…って、え」




まさかそう来るとは。
シカマルの事だからめんどくせーとか言って流してくると思ったのに


ちょっと困ってしまった私。




シカマルもシカマルでそのまま何も話さないし。
私は私で返す言葉が見つからないし。





「シカマル…?」

「正確に言えば心配してた」
「…」

「痛いよ痛いよーって泣いてるかと思った」
「え、ちょっとそれ心配してるってゆーのかな?私からかわれている気がするんだけど」

「歩けば歩くほど、泣いてるんじゃねぇかと」
「何それ、迷子じゃん。私は児童か!!」




「一人で苦しんでるんじゃねぇかって。
心配してた」
「ッ…」




苦しむ…かぁ。




―――2週間どうだったかなんて。
私にとってはどうでもよかった



早くみんなに会いたいって



アカデミーに戻りたいとか、そんなことしか考えてなかった




けど、シカマルは。

すごく心配してくれてたんだね
…なんだか心がくすぐったいけど嬉しい



「ありがとう、シカマル。…私、結構元気だよ!」
「あぁ、そうみたいだな」

「…こういうのを友達っていうんだよね!?」
「何だよ、いきなり」

「心配してくれる人がいるって、とても幸せな事なんだね。シカマルのお陰でそれに気付けた気がする」
「…」

「シカマルが友達でよかった」
「…」




感謝の気持ちを伝えた
…つもりだったんだけど。



シカマルは罰が悪そうな顔をする。


…なんでだろう。




「あー、シカマル?」
「何だよ」

「怒ってるの?」
「怒ってねぇよ」



でも不機嫌そうなのは何故?



すると突然ガシッと手を掴まれる




「行くぞ」
「え、行くってどこに?」

「飯」
「は?」

「最近1人でしか食ってねぇだろ」
「そ、そうだけど」

「うまいとこあっから」
「で、でも。私そんなに持ち合わせないよ?」

「大丈夫だ。心配するな」




その自信はどこから?



私はシカマルに引きずられるがまま、彼の特等席を後にした。






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