徒然なるままに

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入院して2週間後。



三代目のじいちゃんからようやく退院の許可が下りた



退院の条件として、青い水晶の首飾りを渡された

そして「肌身離さずつける様に」と念入りに何度も言われた

何故かと理由を聞いても、じいちゃんは「お守りじゃからな」としか答えてくれなかった




―――まぁ、いいか
退院祝いってことで。




面会謝絶にされていたから、入院中に話したのはじいちゃんとカカシさんだけだった





入院した次の日にイタチさんから手紙が届いた。
手紙と言ってもちょっとした走り書きで「アルバイトは心配するな。ゆっくり休んでくれ」としか書いてなかったけど





もしかしてイタチさんが私の代わりに新聞配達を…?っと考えてみたが、暗部で忙しい彼がそんな暇あるわけない
少しでもイタチさんのアルバイト姿を想像していた私はバカだと思った








私の退院日はお迎えがいるという事で病院の外に出てみれば





「………」
「………」

「…もしかして、お迎えってサスケ?」
「…」





サスケが不機嫌そうにコクリと頷いた


…私のお迎えはサスケくんの様です





ま、マジか…
いつにも増して不機嫌そうな顔
これ、絶対怒っているパターンだよ…




「あー…えーっと、サスケ?」
「アカネもオレに聞きたいことがあると思うが、オレもアカネに用がある」
「はぃ…」
「行くぞ」





行くぞって…どこに?

そう尋ねようにも、ここまで彼の機嫌が悪いと聞けません…



仕方なくついていけば「アカネの家に案内しろ」と冷たく言われた




目的地は私の自宅のようです


…これ、私死んだわ…






******





「お、お茶、どうぞ…」
「…」


めっちゃ気まずいッ…!!


なんでこんなに無言なんだよ!
ここまで黙られると気遣うわ!



サスケは入れたてのお茶を飲みながらじっと私を見てくる



…あ、そうか。




「お茶菓子…切らしててさァ…。何もないんだよね、ごめんね」
「構わない」
「あ、はい」




お茶菓子じゃなかったのか。
…じゃあ、私は何をすれば…




「サ、サスケ」
「なんだ」

「迎えに来てくれてありがとう」
「別にいい。兄さんに行くように言われた」
「イ、 イタチさんが!?」




もしかして。
お迎えはサスケじゃなくてイタチさんだったのかも知れないのかな…?


いや、暗部だからそれはないな←




「…アカネ」
「な、なに?」

「二週間も何故入院していた?」
「そんなのわかんないよ…。憶えてないし…体調不良とは言われたけど…」

「そんな理由信じると思うか?」
「嘘じゃないよ!…記憶が…ないんだもん…」

「本当のことを言え!」
「だから知らないってばッ!!」






言い合い。


こんなにサスケに責められるとは思わなかった。
サスケの瞳はまだ私のことを疑っている







「ッ―――――…アカネ」
「やッ…」






サスケに右手首を掴まれる

男の子だから結構力強くて少し痛かった






「…じゃあ、この間手裏剣修行に遅れてきた理由は何だ」
「そ、それは…」




閉じ込められていたなんてダサいこと言えない…




「…ただ、サボりたくて。飛び道具苦手だし」

「シカマルがアカネは手裏剣修行得意だからサボるはずないと言っていた」
「…」





あんの奈良ッ!!!!


余計な事を…
これ完全に墓穴を掘ってしまったパターンじゃん…




「いやあ…それは、」
「何故、嘘をつく」



返す言葉もありません…
藤宮アカネ、サスケに完全降伏です。
意地張ってややこしくしてしまったのは私だし…






「あー、えーっと…。
その日は獣っぽい王子様に助けてもらってた」
「本当のことを言え」



いや、本当の事なんだけど
詳しく言えば一人と一匹に。




サスケが手に力を込める
…血液がうっ血してしまいます、サスケ君。





「アカネ…質問を変える。女たちに何をされた」
「…ッ」



知ってんのかよ



「知っているのに聞くの?」
「アカネになにがあったかは知らないが
何かあったことはわかる」




うう…、サスケと話していると何もかも見透かされているようだ




「あの時は」
「…」

「何故かわかんないけど、知らない子たちから倉庫に閉じ込められた」
「…」

「そしたら、キバと赤丸が助けてくれたの」
「…」




おおぉ…、全てノーコメント…。
沈黙は怖いよ…サスケ君




「あと、何故入院していたかは本当に憶えてなくて…。三代目が2週間入院しろってゆーから入院したって感じだし」
「…」




ふと視線を外すサスケ


…?




「何かあったかと気になった…」

「それって、もしかして私を心配してくれたの?」
「…」

「否定しないんだ…?」
「文句あるのか」
「素直じゃないなぁ!」




…でも。
何気に心配してくれたのは嬉しい




「ありがとう。サスケ」
「フン」

「サスケのそーゆーところ好きだよ」
「なッ!」



カーッと赤くなるサスケ

ちょ、この子可愛いッ!!!




「わー!サスケってばリンゴちゃんみたい!」
「うるさい!」

「照れてるところも可愛いー!!」
「からかうな!」



こーゆーのをツンデレってゆーんだよね




「サスケのツンデレはデフォだもんね」
「何意味の分かんねーこと言ってやがる。いい加減にしろ」




そして思いっきり私の手首を引っ張ってきた







―――え?




突然のことに身体はどうすることも出来ず流れに身を任せることしかできなかった



そのままサスケに抱きしめられる




「えッ、ちょ!サ、サスケ!?」
「黙ってろ」
「あッ、あぐぐッ」




後頭部を抑えつけられ、サスケの胸板に顔面直撃。
痛、唇切れてないかな…


黙ってろだなんて…むむむ無理でしょ!!
私は軽く?いや、だいぶ混乱しているんだけど





「………」
「………」




やばい、心臓がバクバクする
気のせいかサスケの心音もドキドキと聞こえる




お互い話さないから時計の針音、お互いの心臓の鼓動、少し荒い呼吸音が響く





「サスケ…?」
「…」





すーっと。
サスケが私の髪を手櫛に通す




「んァ…ッ!」
「…」




そしてそのまま私の髪で遊ぶサスケ。
あんまりこういうの慣れてないから結構くすぐったい



ってか、変な声でたし!!




「なんて声出してんだ」
「誰のせいよッ!」




言い返せば、また頭を押さえつけられる

…サスケっていい匂いがする
イタチさんと違って、幼い香り…


でも、不思議と嫌な感じはなくて
落ち着いている私がいた。





「もうオレの側を離れるな」
「えッ…」




抑えつけられていた力が緩められたので、サスケの顔を見てみればバッチリ目が合った



…どうしよう
視線が外せない




不機嫌でも冗談でもない、サスケの真剣な表情に言葉を返すことが出来なかった





「…いやか」
「い、嫌じゃないけど…」

「…」
「あのー、そのー…」




ドクンドクンと脈が強く打つのがわかる

答えなきゃって思うけど、うまく言葉が出ない。




「…アカネをもう危険な目に合わせたくない」
「あ、ありがとう…?」

「だから離れるな」
「う、うん…?」




言われるがまま。
さっきまでは言い合いをしていたのに
私はサスケのペースに乱される




「オレに嘘をつくな」
「は…はい…」




思わず敬語。
正直ビックリした

そんなに嫌だったのかな…





「ご、ごめんね、サスケ」
「…どういう意味だ」

「嘘、ついちゃってごめんね。…サスケに心配かけたくなくて…」
「…心配するのはいけないことか?」

「え?」
「オレがアカネの心配したらいけねーのかよ」
「いや、そんなんじゃないよ」



冷たく言い返してくるサスケ



「…迷惑かよ」
「違うよ…」




否定しかできない。
上手く言えないのはこのドキドキのせいなのかな…




「大切な人のにダサい事教えたくないよ…。私の事で悩んでほしくなかった、迷惑かけたくなかった」
「ウスラトンカチが」
「な!」




即答された




言い返そうとすると、また頭を抑えられる





「大事な奴ほど、心配するに決まってんだろッ」
「ッ」




そう言われてみればそうかも知れない。


それって…私が大事な人ってこと??





「サスケのばーか」
「なッ」

「ツンデレだからモテ男なんだよ」
「はぁ?」

「女の子はギャップに弱いらしいよ」
「それがどうした」

「私もサスケのこと心配だよ?」
「…」

「私もサスケのこと大切な人だから」
「ッ」




お返しに(散々頭を抑えた罰じゃ)ちょっとからかう気持ちで抱きしめてあげればサスケがフリーズした




…アレ?



「…」
「サ、サスケ?」

「…」
「…?」




頬をぺチペチ叩いてみれば、しばらくしてサスケが立ち上がった




「サスケ、顔がリンゴちゃんだよ?」
「――――ッ!!」




顔が赤いサスケは手の甲で口元を隠す





「…もしかして、照れちゃった感じ?」
「…」




よっしゃー。
これでサスケにお返しが出来たッ




「はッは〜ん。ドキドキしちゃった感じ?やっぱりサスケってば素直じゃないなァ」
「ウスラトンカチが。図に乗るな」



サスケはそのまま屈んで、私の耳元で囁いてきた




――――今度はオレが相手になるぜ




…それって…。どういう意味…で?





それを聞く前にサスケは出て行った



…ちくせう。

今回はサスケに一本取られてしまった




この状況は誰にも話せない…




私はしばらく身体を動かせなかった
…これが腰が抜けたというやつなのだろうか



サスケと一緒に帰って来たの誰にも見られていませんように…







その日、うちは家では久ぶりにサスケが機嫌よく帰って来たそうな…










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