徒然なるままに

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目を覚ますと、そこは真っ白な天井だった。





――――ここ、どこだろう…




わかったことは、ここは病室であるということ
…私はベットの上だ





――――私、何でここに?





思い出そうとすればする程、頭痛が響く


…ダメだ。思い出せない…




起き上がって辺りを見てみれば、見たことあるお面さんが1人いた







「目が覚めたかな」
「…その声は…、カカシさん」




カカシさんはお面を外してニッコリと笑ってくれた




「私、何でここに?」
「体調がすぐれないってことで病院に運ばれてきたんだよ」
「そう、ですか…」




うーん、入院がしなければ行けない程、具合が悪かった記憶はないけど…






「アカネちゃんは何か覚えてる?」
「うーん…アカデミーに行って…」




…までは、何とか。
あとはぼんやりとしか出てこなかった。




「…頭痛がして、イマイチですね…」
「そっかー」


うんうんと頷いてくれるカカシさん


「ま、無理に思い出すことはないよ」
「は、はぁ…」






気が抜けたというか。
ってか、聞いてきたのそっちじゃん…





「どうしてカカシさんがここに?」
「あ、オレ?…眠り姫が目覚めるのを待っていた王子様だよ」

「………」
「え。何よ、その目は」

「カカシさんが王子―?」
「どーして残念そうなのよ」

「マスクで顔を隠した王子なんて嫌ですよ」
「まー!そんなこと言う子に育てた覚えはありません!」
「育てられた覚えもありません!」




カカシさんにいきなり肩を組まれて髪をぐしゃぐしゃにされてしまった
…まぁ、セットとかしてた訳じゃないから良いけど





「アカネちゃんてばオレに冷たいよね」
「今、流行の塩対応ってやつです」

「やだ!砂糖対応がいい!」
「そんなの聞いたことないです!」





すんごい勢いで頬ずりしてくるカカシさん
ちょ、ま…ッ、摩擦熱で火傷する!!

カカシさんはマスクの上だからそんなに感じないと思うけど!







「熱ッ!熱いから!カカシさん!」
「何?オレの熱いハートが伝わった感じ??
アカネちゃんったら可愛いなぁ〜!!」
「勘違いにも程がありますよ!!」



どうしてこの人はグイグイくるんだッ!?



私の周りにも勘違い人間(主にサスケファン)はいるが、カカシさん以上の勘違いヤローは私は知らない。






「それより、マジでどーしてカカシさんはここにいたんですか?」



元々これを聞きたかったのにすんごい脱線してしまった。

…すべてはカカシさんのせいだ。





「ま、気になっちゃうよね」
「?」


今度は優しく頭を撫でてくれるカカシさん
…ペースに波があり過ぎて時々ついていけなくなる。





「んー、なんというかなー。
ちょっと監視していたというか」
「監視?」





私が憶えていない間に何があったんだろう





「私、何かしたんですか?」
「ま、そうだね」

「でも、憶えていません」
「憶えてなくていーんだよ」

「カカシさんが私を監視しなきゃいけない程、私は何をしたんですか?」
「うーん、言わなゃダメ?」
「ダメです」




ここまではぐらかされると気になるよ。
そんなに言えない事なの?





「オレが言うには荷が重いんだなァ」
「教えてくれないんですか?」

「オレはアカネちゃんが起きるまで見守ることがオレの任務だからね」




私の唇に人差し指を当てるカカシさん
まるでしーっとジェスチャーするかのよう




「…それってずるいです」
「大人はずるい生き物なんだよ」

「そー言って逃げるのがずるいって言っているんです」



少しだけ拗ねてそっぽを向いてやれば、カカシさんはフフッと笑って私の頬を指で突いてきた





「ん、アカネちゃん拗ねてるの?」
「大人の汚いところを見て嫌気がさしたところです」

「素直なアカネちゃんも可愛いよ?」
「そーんなこと言って誤魔化すカカシさんは本当にずるいと思います」




するとカカシさんが私の顎を指にかけ、そっぽを向いていた私を無理やりカカシさんの方へと顔を向けさせられる



所謂、顎クイというやつ。




…え。
何故、今顎クイ?



?マークでいっぱいになっていると、いつの間にかカカシさんの顔が近い事に気付いた





「カッ…カカシさん!?」
「照れてるアカネちゃんも可愛いよ?」





そっぽを向こうとしてもカカシさんの力が強くて顔を背けられない



「はははッ、アカネちゃん可愛い」
「…」





本当、大人ってずるい。






「いい加減からかうのは止めて下さい」
「からかってなかったら?」

「え?」
「オレ、本気だったらアカネちゃんどうする?」



珍しく真剣な顔つきのカカシさん
そ…、そんな顔で見られたら、なんと返していいかわかんないです…





「…なーんてね」
「えッ」

「どお?オレかっこよかった?」
「ッ…」

「アカネちゃん顔が赤くなって可愛いなぁ。もしかして、オレに惚れた?」
「カカシさんのバカ!!」





カカシさんを払ってベットの中に潜る


…カカシさんのバカ。
少しドキドキした私もバカだった。




掛け毛布ごしから「アカネちゃん、怒っちゃったの?」っと聞こえてきたが、ここはシカトしてやる。
散々私をからかった罰だ。
これは私の反撃なんだ



「んー、困ったなァ…」
「………」



もっと困ってしまえ。
カカシさんなんて知らない





しばし、沈黙。


この沈黙を破ったのはやはり、カカシさんだった。




「ごめんね、アカネちゃん。少しからかい過ぎちゃった、かな」




こ、この人…ッ!


掛け毛布ごと私を抱きしめてきた…!!




一気に脈が跳ね上がり、心臓がバクバクと鼓動する





「ちょっとかっこつけたかったってゆーのかな。
アカネちゃんにかっこいいとこ見て欲しくてさ」
「…ッ」





「でも、アカネちゃんを可愛いって思ったのは嘘じゃないから。」





そういった後、カカシさんは私をギュッと抱きしめた





「…またね、アカネちゃん」





その声と共に、カカシさんが私から離れたのがわかった





――――カカシさんの大バカ野郎。




そっと、ドアが閉まる音がした。





******













「アカネ」
「…じいちゃん」




カカシさんの後に、三代目がやってきた




「調子はどうかの?」
「最悪です」




カカシさんのせいで。


とは言えず。

せっかくじいちゃんが来てくれたのだから、このまま拗ねておくわけにはいかず

掛け毛布を取り、じいちゃんと向き合う




じいちゃんは「そう冗談を返せるほど、元気ならよかったわい」と笑う






「…」
「どうした、アカネ」

「じいちゃん何でここに来たの?」
「…ふうむ…」

「私、一体何したの?」
「それを、説明しなければならんのう」




…やっぱり。

カカシさんに言えないこと。
三代目火影から直々に伝えられること。




…何を言われるのだろう

何も憶えていないけど、子どもの習慣なのか怒られる気がして身構えてしまう





「アカネ、気を張らなくともよい
「…」

「大丈夫、悪い事はしておらんからのう」
「…」




どの言葉も疑ってしまう
本当の真実を知りたい



じいちゃんは重い口を開いた




「いずれは、話さなければならんことじゃった。
…しかし、幼いアカネには少し辛い事じゃろうと思っての…伝えるのが遅くなったのじゃ」
「…」



「アカネ、お主は他の生徒とは違う」
「…」

「…他の人にはない能力を持っておるのじゃ」
「…能力?」



「そうじゃ。まだ幼いアカネはその能力を知らない上、使いこなすのも容易ではない。
その能力はアカネにしかない特別な力なんじゃ。
ワシらとて、その能力を使えない上、どんなものかもハッキリとはわからんのじゃよ」
「…」



「血系限界といってな。
自分を守る力にもなれば、
人を傷つける力にもなる」

「じゃあ、どうして…。人を傷つけるかも知れない能力がある事を教えてくれなかったのですか?」
「ふうむ…」

「私が、知らない内に誰かを傷つけるかも知れないのに…」
「…」

「私が、まだ子どもだからですか?」





――――子どもだから。
それって大人の逃げ言葉。
こうやって誤魔化そうとする





「わしも、その考えじゃった」
「…」





やっぱり。
そして、きっと今回もそうだ
大人って…ずるい…




「アカネ自身が知らぬ能力がある事を伝えても、アカネはその力を引き出すどころかコントロールも出来んからのう。
…わしらもお主の為にたくさん悩んだんじゃよ」
「…」




じいちゃんはひと息ついた




「しかし、それがのう…。黙っておく訳にもいかなくなってのう…」
「どうしてですか?」

「…」
「やっぱり、私。何かしたんですね」
「…」




一体何をしたというのだろう
私の能力って、力って何だろう


知りたい、そう思う反面。
自分自身記憶のない私がしたことに対しての恐怖感があった





「人を傷つけたんですね」
「そうじゃのう…、見方次第ではそうとらえることもできる」
「…?…どういう事ですか」



「アカネは友達を守ったのじゃ」
「…守った…?」
「そう、憶えておらんと思うが、日向ヒナタがすべてを教えてくれたよ」




―――ヒナタちゃん…


ズキン、と頭痛が走る。




「アカネは子どもじゃからのう。
感情が高まり過ぎて身体から力が溢れてしまった。
それ故、けが人もでてしまったが、お主はヒナタを守ったのじゃよ」



「でも、私、何も憶えていません…」

「まあ、そう責めなくてよい。
ただ、アカネにはそういう力があるということを憶えておいてほしい」
「はい…」




「それと、その力は感情が高まった時、発動するようじゃ。
チャクラコントロールすらできないお主にその力をコントロールしろというのは難しい話。
だから、憶えておくのじゃ」
「…わかった」




でも、気になることがある




「ねぇ、じいちゃん」
「どうした?」
「そうして私の記憶がない時にその力が発動されるの?」




一番の疑問。
憶えてもいないのにその力が発動されるなんて迷惑な話だ





「そうじゃのう…。
お主の身体を巡る藤宮の血がそうさせておるのじゃ。
身体的、精神的ダメージを藤宮自身に与えぬように。
…例えて言えば【もう一人のアカネ】が守ってくれているのじゃ」

「もう一人の…私?」




「うむ。話によれば、アカネの髪が紅くなったと言う者もいたそうじゃ」
「私の髪が…あかく…?」





うーん、話せば話す程。
考えれば、考えるほど、頭がゴチャゴチャになってきた





「信じられませんね、その話」
「目撃者が全員口をそろえて言っておるぞ」
「信じるしかないですね、その話」




まだ信じられないけど。
何度、自分の髪を見て真っ黒だった


―――本当に、不思議な話。





「そういう事じゃ。そろそろワシは仕事に戻らなければならぬ。ここらで失礼しようかの」
「う、うーん…」

「あまり、深く考えぬことじゃ。
それと、しばらく身体を休める為に入院しておくのじゃ」
「えー!?やだー!私、こんなに元気なのにッ!!」





学校よりも私にはバイトが…

しかしじいちゃんは「もう既にアカデミーにも連絡しておるし、病院にも伝えておるから安心して療養せい」と一方的に伝えて病室を出て行った





ちくしょー
こっちはもう日常生活に戻れるってゆーのに一方通行じゃないか。



これじゃ監禁生活同様だよ



時間を見れば19:30
…何もすることないし…





私はいつぞやのシカマルのように仕方なく不貞寝することにした






******
※三代目視点





…まさかこんなに早く能力を引き出してくるとは困ったもんじゃ


しばらくの間、藤宮の血が鎮まるまで安静にしておいたがよかろう…





「三代目!」
「なんじゃ」


「藤宮に襲われた少女らの状態ですが…
あの花が彼女らの生命を削り成長し続けています。
切り離そうにも、根が大動脈まで伸びており、神経系にも影響を及ぼしております。骨密度の低下も見られ、体温も低下。
意識不明の重体です」
「ふうむ…」




これは厳しいことになって来たのう…




「解術書は見つからんのか」
「報告ありません」
「そうか…」




うちはを頼るしかなさそうじゃのう…




「あの紅燐華は生きておる。解術書が見つかるまでは呪術式とうちはの血で進行を抑えるのじゃ」
「はッ!」




紅燐華…
あぁなってしまった華はもう止められん



――――藤宮一族。




生き残りはアカネのみ



あの花を止められるのは
藤宮アカネと解術書だけじゃ



どんなに優れた術や能力も
コントロールできぬとただの脅威じゃ



アカネよ…



早く自分を取り戻すのじゃ…






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