徒然なるままに

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今日は授業が午前中で終わった





シカマルやチョウジ君が一緒に遊ぼうと誘ってくれたけど…
あいにく、約束があったので断った
「また誘ってね」と、伝えて。





アカデミー前で待ち合わせってことだったけど本当にいいのかな?
…ちょっと申し訳ない気持ちがあるが、木の葉でよく迷子になる私にとっては有り難い事なのかもしれない










「…アカネ」
「イタチさん!!」






約束の場所には既にイタチさんの姿があった。昨日の暗部姿とは全く違って、穏やかな服装



どんな服もお似合いです!イタチさん…





「遅くなってすいません」
「大丈夫。オレもちょうど今来たところだ」



イタチさんはニッコリ笑った
もう、私…幸せです。イタチさん…




今日は新聞配達のお礼をする約束なのだ
もちろん、私の奢りで!
(昨日は卵も買ってもらったし)

せっかくのイタチさんの休みを私に当ててもらい、ちょっと申し訳ない気持ちであったのだが、
イタチさんが「アカネに会えるなら最高の休みだよ」なんて言ってくれた。

相変わらずイケメンすぎるよ…





木の葉に来て間もない私はイタチさんのオススメのお店に行くことになっていた





「今日は甘栗甘に行こうと思ってな」
「甘栗甘?」

「甘味処だ。ゆっくりお茶でもしよう」
「やったー!甘いもの大好きです!!」





お茶かぁ…。
ん?ちょっと待って。
これってちょっとしたデートなんじゃ…




やばい
ニヤニヤが止まんない。








「アカネは…」
「ん?」

「アカデミーに通う前は何をしていたんだ?」
「うーん、覚えてない」
「…」



「私、三代目の養子っていゆーのかな。
自分自身、昔の記憶がなくて。両親の顔も、声も覚えていないんです。
じいちゃんが言うには『記憶喪失』ってやつらしいの…」

「そうか…」




「でもね!私辛くないよ!今は友達がたくさんいるもん、イタチさんも…。
だから、じいちゃんは『第二の人生だ』って言ってたよ」






「よかったな」っと
頭を撫でてくれるイタチさんは…
いつもより悲しげだった。




――――どうかしたのかな

こんな悲しそうなイタチさんは初めて見た。










「イタチさん、悲しいの?」
「いや…なんでもない」


「イタチさんが悲しいと私も悲しい」
「!」




「イタチさんは大切な友達だから…」

「相変わらず、アカネは優しいんだな」
「えッ…?」




相変わらず…?
それってどういう…




「イタチさん、相変わらずってどういう事なんですか?」
「…秘密だ」
「えぇー!?ずるいです!」





くすくす笑うイタチさん
…どうやら教えてはくれないらしい

けど、イタチさんが笑ってくれたからちょっと安心したかも…





「此処だ」
「わぁッ!いい匂いがするー!!」



どうやら着いたらしい。
暖簾には「甘栗甘」の文字


甘味処らしい甘いにおいがする
…お腹がすいてきた。
これが別腹というのだろうか






イタチさんの御好意で外で食べることになった
外で食べるのもなかなか粋がいい。
景色もいいし、より美味しく食べれそう。
日傘と長椅子がお洒落にマッチしている




イタチさんは「日差しはアカネのキレイな肌に良くない」と日陰に誘導してくれた


エスコートが上手すぎです…イタチさん…







しばらくして店員さんがお茶におしぼりとメニューを持ってきてくれた






「アカネはなにが食べたい?」
「う、うーん。アレもコレも悩みます…」



団子に饅頭、洋菓子類にパフェまで…
どれも美味しそう!
…まじで悩む…。

まさにメニューと睨めっこだわ。





「イタチさんは何にしますか?」
「オレは団子だな」
「じゃあ…私も団子にします!」





アカネは初めて来たから、っと。
注文はイタチさんがしてくれた

どんなのが来るか楽しみだなァ…






「イタチさんって、サスケと兄弟だったんですね」
「あぁ」

「この間、サスケと組手したけど…すごく強かった!」
「…そうか」

「サスケはイタチさんと修行がしたいって言ってたよ」
「…」

「今でも強いサスケがイタチさんと修行したら、今度は私が負けちゃうかもなァ…」
「そんなことはない。」

「えッ?」
「アカネなら大丈夫さ」
「そ、そんなことないですよ。それに、サスケは男の子だし…」


「本当の実力はうちはを凌ぐ」

「い、イタチさん…?どういう…」





尋ねようとしたとき、ちょうど店員さんが「お待たせしました」と団子を持ってきた



タイミングが良いのか、悪いのか…

イタチさんにはこれ以上聞けなかった









「うわァ!美味しそう!」



三色団子にみたらし団子、きなこにあんこ、草団子の5本セットが2つ。


どれも艶やかで、彩りもいい。




イタチさん注文ナイスです。
素晴らしすぎる…



近くにあった三色団子をひと口食べてみる





「ん!美味!」



一番シンプルな団子だけど、団子のしっかりとした甘さ。
でもほんのり優しい風味があり、控えめで、しつこくない
もちもちとした食感共でフワフワと口の中に広がっていく





「イタチさん!滅茶苦茶美味しいです!!」
「あぁ、ここの団子は美味い」

「私、甘栗甘のファンになりそう!」
「それはよかった」





イタチさん食べ方も上品だなァ…
私も見習わないと!


それにしても、ここの団子はクセになりそうだ






「オレはもう少し甘くてもいいかな」
「あ、イタチさんは甘党なんですね」



私と同じ三色団子を食べた感想イタチさんの感想。





「甘党か…」
「でも、何だか不思議です」

「どうした?」
「この味、なんだか懐かしい感じがして。まるで、これを食べたかった様な…」





根拠はないけど。
始めてきたはずなのに…





「でも、また食べに来たいなァ…」
「また来よう、一緒に」
「んッ、んぐッ…」






不意打ち過ぎる。
思わず団子をのどに詰まらせそうになった


イタチさんが「大丈夫か」と背中を擦ってくれた






「また誘ってくださいね」
「もちろんだ」





イタチさんは不思議な人だ
面倒見がいいというか。
私自身のお兄ちゃんみたいな感じ
(そう思ったらサスケに怒られてしまうかもしれないけど)





たまに意味深なことを言われるけども…






サスケがイタチさんを目標に頑張るのもわかるし、
イタチさんを誇りに思うのもわかる




ファーストレディーで、エスコートが素敵な優しいイタチさん




あの悲しそうな顔が忘れられない。
目に焼き付くように残っていて、胸が苦しくなった




それでも笑顔で接してくれるイタチさん。
心の中には一体どんな闇があるというのだろうか


――――きっと、教えてはくれないだろう




また、笑顔で誤魔化されるんだろうな





けど、いつかは。
腹を割って話せるように
イタチさんが安らげるような
そんな信頼関係が築けるといいなと思った








******






「いや〜、美味しかったです!御馳走様でした!」

「アカネが喜んでもらえてよかった」
「ここは私が奢ります!新聞配達と、甘栗甘を紹介して下さったお礼です!」





イタチさんは「オレはアカネの笑顔で十分対価は貰った」と私の頭を撫でてくれたけど、
私の気持ちが済みません!!!



店員のお姉さんにお勘定をお願いすれば「そちらのお客様から頂いております」と返された





なんてこった。
先手を打たれたか。


しかし、いつの間にお勘定を済ませたのだろう?




完璧過ぎです。イタチさん…






「イ、 イタチさん!申し訳ないです!!」
「いいんだ」

「で、でも…」
「女はデートする時、財布を出してはいけない」
「えっ」




特にオレと一緒にいるときは、とイタチさんは強調した



か、返す言葉が見つからない…





「じゃあ、いつになったらイタチさんにお礼ができるんですか?」
「アカネはオレの側に居てくれるだけでいい」
「そ、そんなんじゃ、私納得いかないです」

「気にしなくていい。アカネはアルバイトをしながらアカデミーに通っているんだ。
オレにお金をかけなくていい」
「ううぅ…」






ぐさ。
いや、しかし…

イタチさんはそんなところまで考えてくれていたのか…
優しいし、本当のお兄さんの様だ






「それなら!立派な忍びになって、お金を稼ぐようになったら!イタチさんに奢らせてね!」
「オレはその気持ちで十分だ」




期待せずに気長に待つよ。





イタチさんはそう言ってくれた
なんか、ちょっと嬉しいかも


よーし!立派な忍びになってイタチさんに恩返ししようっと







「アカネ」




イタチさんの方を向くと、私と同じ目線になる様に屈んでいた







「?…どうしたの…イッ」







イタチさんに抱きしめられた





えッ…




突然のことに頭がフリーズする








「もうどこにも行くな」
「イタチさん…?」
「もう一人にしないでくれ」









イタチさんの言っている意味が分からなかった
なのに、心臓がバクバクしている




…ダメだ。
身体の力が抜けて動けない。





でも。
イタチさんに抱きしめられて嫌なことはなかった

むしろ、懐かしい感じがする






「イタチ…さん?」
「…すまないな」



ゆっくりイタチさんは離れた





「今のは忘れてくれ」
「わ、忘れられるわけッ…」
「子どもには刺激が強すぎたかもしれないな」








いつものように笑ってくれるイタチさん
…でも、やっぱり悲しそうに見える





イタチさんは何を考えているんだろう
何を思って笑っているんだろうが





子どもの私には大人なイタチさんの気持ちが良くわからなかった





私は、イタチさんに声をかけられなかった
なんと声をかけていいのか、わからなかった。







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