徒然なるままに

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「…うわ、マジか」



午後の授業を受けようと教室に戻ると女子から浴びるような視線を送られた



きっとサスケ関係の視線だろう



もう視線ってすごいんだね、背中やら何やら刺さるわ
しかし、気にしていたらキリがない






自分の席につくと、すぐに知らない女の子たちが私を囲む


マジか。
これは本格的に私のアカデミー生活は壊滅したのだと確信した
無難に過ごしたかったのにな…





遠い目でどうするか考えていたら、正面の女の子が机をドンと叩いてきた





「ちょっとアンタ」
「なんですか」
「サスケくんと組手してから調子に乗ってるんじゃないわよ…」




うん。意味が分からない
今日一日私が何をしたというんだ

これは何を言っても会話が成り立たないパターンだ





「調子に乗っているとはどういう事ですか?」
「はッ、何言ってんの?」
「アンタ、サスケくんに色目使ってたじゃない!」
「サスケくんは藤宮さんに騙されているのよ!」
「サスケくんは迷惑しているの!」





1つ言えば、10返ってくる。
あぁ、もうしんどい
勘違い女子の相手は数倍辛い





「その言い分は実際にサスケから聞いたわけじゃないでしょーに。あなた達の考えや妬みでしょ?
…サスケの本当の気持ちも知らないくせに」


「何よ!」
「何様のつもり!?」
「アンタごときがサスケくんの気持ちを語るんじゃないわよ!」






そっくりそのまま、その言葉をバットで打ち返してやりたい。








「サスケと話したこともない人達から、勝手にある事ない事言われて。
…サスケが不憫で仕方ないですね」


「なによ!!」
「サスケくんと話しているからって調子に乗ってるんじゃないわよ!」
「この女!!!!!」





散々文句を言ったかと思えば、急に胸ぐらを掴まれた







「いい加減にしないと痛い目見るわよ…ッ!」
「――――やれるもんなら、やってみなよ」




どうせ取り返しのつかないアカデミーライフなんだから

こういうケンカは手を出した方が負けになるんだよ






―――――――パシッ







乾いた音が響く









「昼間から一人に寄ってたかって何してんだよ」

「シカマルッ!!」






平手打ちしようとした女の子の手は、シカマルがしっかりと捕えていた。






「あと、そこ。オレの席なんだよ。お前ら邪魔」





シカマルはその子の手を払って、シッシッと女子たちを払いのけて私の隣に座る



すると女子たちは私とシカマルを睨み付けて「今度は容赦しないから。覚えてなさいよ」と捨て台詞を吐き、去って行った




おー、怖。
これが負け惜しみってやつか?

それは置いておいて…




「ありがとう。シカマル」
「お前さー…相手を煽るんじゃねぇよ。面倒くさいことになるじゃねぇか」


シカマルに怒られた。面倒くさそうに、かったるそうに怒られた
怒っているというか、呆れているようにも見えるけど





「だってさー。売られたケンカは貰っておかないと」
「お前ってば超バカ。調子に乗ってっと、フルボッコにされるぞ。あーゆー奴らおっかねぇから」
「大丈夫。私、強いから」
「…女ってのはな、ケンカする生き物じゃねぇんだよ」
「どういう意味よ」




「女のケンカってのは、すげー醜いんだぜ。誰も見たくねぇんだよ。
あーゆーやつらは相手にしない方が大人の女の対応なんじゃねぇの?」

「――――それでもダメなら?
相手にしなくてもあんなに絡まれたら自分を守る為にも手だしてしまうよ」



「あー。その時はだなー…」





――――――またオレが守ってやんよ。






…真剣な顔で言われるとドキドキするじゃないか。
でもこれはあれだ、トモダチとして心配してくれているんだ

あれこれ脳内で考えが走り回っていると
最後に「面倒くせぇけど」という言葉が聞こえた


…それがなければ、本格的に超かっこよかったのにな。



…でも、まさかシカマルに助けられて諭されるとは。
確かに私もこどもっぽい態度だったかもしれない



今まで多少(?)生意気だったのかな
おしとやかな大人になろう
…なれる自信はないけど。





「シカマル」
「なんだよ」
「もし、シカマルが私と同じ立場になったとき、私がシカマルを守ってあげる」
「余計なお世話だ」
「酷ッ!」
「女に守られるほど、落ちぶれちゃいねぇよ。アカネと違って賢く生きてるんだ。心配するな」



まぁ。確かに(納得






「シカマルって藤宮さんと仲がいいよね」
「お!チョウジじゃねぇか」
「???」




ぽっちゃり系の男の子がお菓子をバリバリ食べながら話しかけてきた



…うちのクラスにこんな子いたんだ
転校してきたはいいものの、クラスの事あまり見てなかったからなぁ…
頬がぷにぷにしてて気持ちよさそう





「ボク、秋道チョウジっていうんだ。よろしくね、藤宮さん」
「あ、よろしく。アカネでいいよ」



それにしても、よく食べるなーこの子。




「…隣がアカネだからな、そりゃあ仲良くしておかねぇと」
「シカマルって嫌々、私と仲良くしてる訳じゃないよね?」
「大丈夫だよ、アカネちゃん。シカマルって遠回しにしかアピールできないんだから」
「ちょ、チョウジ…」
「??」




二人のやり取りというか、チョウジ君の言っている意味が良くわかんないかも





「じゃあ、そろそろ授業が始まると思うから、ボクは戻るね」
「あぁ、またな」
「また話そうね、チョウジ君」



チョウジ君はお菓子をボリボリ食べながら戻って行った




――――新しいトモダチゲット。
ちょっと嬉しいかも




「悪い事ばかりじゃねぇだろ」
「え?」


「こうやって楽に、ゆっくり過ごせばいいんだよ。アカネの周りにはちゃんと仲間がいるんだからよ」
「…シカマル」



転校して間もなくして色々なことがあったけど、
確かに悪い事ばかりじゃないかも。



「シカマル」
「なんだよ」
「ありがとう」
「別にいいって」
「お礼をしたいんだけど、何がいい?」
「はあ?」
「何でもいいから欲しいものを言ってよ」



シカマルは、んーっと考える



「そうだなー、ゆっくり昼寝でもする時間が欲しいかな」
「…何よそれ」
「人間はまったりする時間が必要なんだよ」
「それはわかるけど、時間なんて自分が作るもんじゃん」
「そうだな」
「えー…」



じゃあどうしたらいいんだ
そんなことを言われたのは初めてだ



「まぁ、お礼とか気にするな、ダチなんだからよ」
「えー…そう言われるとそうなんだけど…」



なんと欲のないやつ。
―――――そうだ





「今度シカマルにお弁当作ってきてあげるよ」
「はぁ!?」
「だって、組手の時、ナルトにお弁当の話してたら拗ねてたじゃん」
「拗ねてねぇし」
「ははーん、素直じゃないんだからー」
「はいはい、期待せずに待ってるよ」


軽く流された気がする
…まぁいいか



シカマルには色々と助けてもらってるから、感謝の気持ちを表現したい


悪い事ばかりじゃない…か。
確かにそうかも




最悪を予想していた私のアカデミー生活に
希望が見えた気がした






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