徒然なるままに

□5
1ページ/1ページ

「たのもーう」




―――昼休み。





ガラララッと隣のクラスの引き戸を開ければ、私はクラス中の注目の的になっていた


…え、そこまでガン見しちゃいます?
アカネちゃん照れちゃうなー(棒読み



クラス中の視線にどうしようかと考えていると「アカネちゃーん!!」とナルトが駆け寄ってきた


やっぱりナルトは私の癒しだわー…
かわええ…



「お弁当持ってきたよー!」
「きたきたきたー!オレってば超楽しみにしてたんだからなー!」



ナルトはニシシシと笑いながら大事そうにお弁当を受け取る
…母性本能をくすぐられるぜ!ナルト!可愛すぎる!



「なー!なー!アカネちゃん!…組手でのオレの活躍見ててくれた!??」
「ん、あぁー…ゴメンね、調子が悪くて見られなかった」
「んなッ!!」




ガーンという効果音が聞こえてくるくらい落ち込むナルトに、シカマルに膝枕してもらっていた。だなんて決して言えない…
都合よく、ナルトには見られていなくて良かった




「ま、まぁー!アカネちゃんってば組手頑張ってたもんなー!…仕方ないってばよ!」
「!…ナルト、ありがとー!!」


二人でニシシっと笑いあう
やっぱりナルトは良いやつだってばよ!←




「ねぇ、ナルト…よかったら一緒にお昼食べ「ちょっと来い」…え」




アレ?ナルトが遠くなっていく??
っというか、誰かに腕を引かれズルズルと教室から遠くなっていく私。




ったく、もう!私とナルトの邪魔をするのは誰だッ!?…と思ってみてみれば


「さ、サスケくん…」
「いいから来い」




何故サスケくん!??
私何かしたっけ!!?





ズルズルと遠ざかる教室から「何よ!あの女!」「サスケくんはあの子に騙されているのよ!!」などなど…
サスケファン女子からの恨み辛みの怨念が飛び交っているのが聞こえてくる




いやいや、これは不可抗力だって。私は悪くない(はず。

ナルトに会いに来ただけってゆーのに…




当のナルトが慌てて教室から飛び出して来たのが見えたのが最後。
私はもう既に遠くに拉致られており、ナルトの姿は見えなくなった





「………」
「………」






無言で私を引きずるサスケくん。
嗚呼、私のアカデミー時代の青春終わったと悟った(色んな意味で)













******










「………」
「………」



只今私は何故かサスケくんと無言のランチタイムnowです。




…一緒にお昼が食べたかったのかな。
いや、サスケくんに限ってそんなことはないはず…!
何か裏があるはずだ…



身近にいる誰かさんのおかげなのか、少し人を疑うことを覚えてしまった私。




とりあえず、この無言を突破したい。






「あのー、サスケくん?」
「サスケでいい」
「あ、はい。」



会話終了。





私この子と過ごしていく自信がないわぁ…

せっかく作ってきたお弁当をこんな形で食すことになるとは思わなかったな…





私たちがいるのは3階空き教室の窓際。
こんなに景色のいい教室があったなんて知らなかったな。アカデミーの秘境だわ。


サスケファンのキャーキャー言う声もなければ、誰かが来る雰囲気もないし…静かにゆっくりと食事ができる


サスケって意外に結構いい場所知ってるんだなぁ






「アカネ」
「ん?…はい!?」





驚いた。
今までは「オイ」とか「お前」だったのに。

いきなり名前とか不意打ち過ぎる
本気で驚いたわ





「さっきは悪かった」
「え?…さっき?」






何に対しての謝罪なんだろう?
私とナルトの絡みを中断したこと?




私の頭の中は?でいっぱいになった







「組手。オレも感情的になっていた」
「あ、あぁ、良いよ。気にしなくて」




私もサスケ投げちゃったし。
それにしても、予想が外れた、まさかそっちとは…





「でもさ!いきなり過ぎてよくわかんなかったんだけど、…兄さんって誰?」




するとサスケは呆れた表情で答える





「オレは…うちはサスケ」
「う、うん」
「イタチはオレの兄だ」
「う、嘘おぉぉぉ!??」




驚愕。




ま、まさか、あの優男兄さんの弟!?
…確かにこのイケメン具合はそっくりだけど!!…兄弟ってこんなに違うもんなの!?




イタチさんは超優しくて爽やかなのに、サスケは…何か良くわかんないけど。
顔は似ていても内面ってこんなに違うもんなんだなと実感。




「じゃあ、どうしてあんなに睨んでいたの?」
「それは…。アカネと兄さんが親しそうにしてたから…」

少し前髪で顔を隠し、照れながら言うサスケ


…ちょ、この表情レア過ぎるぞ!
不覚にもサスケを可愛いと思ってしまった私。





ん?待てよ…、サスケの言っている事ってつまり…




「ヤキモチだったの?」
「………」
「それともブラザーコンプレッ「違う!」あ、はい。」




ブラコンではないらしいです




「兄さんは暗部に勤めているから…忙しくて、オレの修行に付き合ってくれない」
「あ、暗部ウゥゥ!???」



衝撃の事実発覚。
優男は暗部だった
お、おっかねぇ…



私、イタチさんに変なこと言ってないよね?
何かやらかしてたなら暗殺されちゃうかも←




「――――だから、今朝。二人で親しそうに歩いてるの見てると…」
「そ、っそっかあー…」


それは妬いちゃうか知れない
イタチさんに構ってほしかったのかな





「兄弟で過ごせる時間が増えるといいね」
「…」
「今度イタチさんとお茶する約束してるんだけど、良かったらサスケも来ない?」
「断る」
「即答!?」
「オレは甘いものが嫌いだ」
「そうなんだ…」


兄弟仲良くする作戦に出たつもりが見事に玉砕したよ





「じゃーさ!サスケはどうしてほしいの?」
「それは…」
「修行に付き合ってほしいの?それとも、寂しいから相手にしてほしいの?」
「…」
「もし、そうなら」







――――――私がサスケの相手になるよ









サスケは目を見開いた
…驚いているのかな?





「寂しい思いはさせないよ。修行だって一人は寂しいけど、二人なら競えあるし、高めあえる。
――――だから…」
「ウスラトンカチが」
「はッ!?えぇ!?」


サスケはフッと笑っていた


「余計なお世話だ」
「なッ!」



結構勇気出して言ったのになぁ…
傷つきまくりだよ、私。



「けど…」
「な、なにさ」










―――――アカネの修行なら付き合ってやってもいいぜ









…え、それって…。


「オレは先に戻る」

唖然としているとサスケはいつの間にか食べ終えた弁当箱を片付け、立ち上がった。
そして、私の額を軽く小突いてきた



「またな」




――――――ありがとう。




サスケが教室を出ていく間際、そう聞こえた。


…色々と反則過ぎるぞ、イケメン…。




私はサスケが立ち去った扉をしばらくの間、眺めることしか出来なかった









******
※サスケ視点




藤宮アカネ。

兄さんと二人で歩いているのを見たとき、何故かとても悔しくて。
演習の時に見たときは、何だかとてもやる気がなかったくせに組手はなかなかの実力だった。


昼休みにあいつが教室に来た時、
ナルトと話している時、

よくわからない感情が渦巻いてきた。



八つ当たりして、冷たくしたのに、あいつはオレの相手になると言ってきた
最初は何言っているんだと呆けてしまった
けど、また不思議な感情になった



あいつと関わると、不思議な気持ちになる










NEXT

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ