徒然なるままに

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放課後...
補習と言われてきてみれば、先生に掃除道具を持たされた。



補習じゃないじゃん。
これただの罰ゲームなんですけど。



そう言い返せばインテリティーチャーは
「藤宮さんの日頃の態度を改めるいい機会になるですぞ」とか都合の良いことを告げてどこかに行ってしまった。


最後に「また見に来るから、しっかりやるんですぞ」とか言ってた気がするが聞こえなかったことにしておく


授業中に寝るくらい大目に見てくれてもいいじゃんか…とか、ぶつぶつ言いながらも渋々始める




眠たいのは仕方ない。
成長期もあるが、生活費を少しでも多く稼ぐために早朝新聞配達してからアカデミーに来ているこっちの身にもなって欲しい



生活費…
火影のじいちゃんに甘えてられないからなあ…




…もう面倒くさくなってきたな。
バケツの水ひっくり返してやろうか…





それより、どうやったら早く帰れるのか。
夕方のタイムサービスまでには帰りたいとか考えてたら、教室の外から怒鳴り声が聞こえてきた


いつもは人混みが苦手だから野次馬精神はないのだけれど。今は放課後…少しくらいいかな




窓から外を眺めてみると、少年が5,6人。誰かを囲むように立っている

窓を少し開けてみると会話が聞こえてきた




「いきなりぶつかってきて、なんだよその態度は!!」

「うるせーってばよ!!お前が足引っかけてきたんじゃねぇか!」

「黙れ!化け物!」
「少しはおとなしくしろ!」




・・・なんという理不尽なこと。
そして、逃げ場のない男の子は集団リンチされる






よし、ここは一発かましてやるか!







「お、オレは化け物なんかじゃねぇ!いずれは火影になる男だ!」
「火影になる男がこんなに弱いんじゃ里の行く末が怖いわ!」






ばっっしゃ―――ん

バケツの水がひっくり返る、けたたましい音が響く。

直後、

お前らァァァァァ!!!!何してる!!」






先程、私に掃除を申し込んだ先生の声が響く


…まぁ、それに変化した私なんだけれども。



アカデミーでペーペーの私が行くよりも一番手っ取り早いと思って





その考えは間違っていなかった様で、水をかけられた少年たちは顔が青ざめている




「こんな集団で暴行する貴様らは・・・、罰として教室掃除だ!!」


なんて言うと、「すいません!わかりましたーーー!」と、そそくさに校内に入って行った







面白すぎてニヤニヤしながら、金髪蒼眼少年に歩み寄る







「大丈「近寄るなァッ!!」って、えええええ!」




よく見ると怯えたような、不安げで怒りに満ちたように睨み付けている

どうせ、お前も・・・と、でも言うように



「お前ってば、いつもその目…!」
「え、あー・・・っと。」





そうか、変化の術解かないと。





ボウンと術を解くと、少年は驚いたように、信じられないという顔で私を見た



「な、なんだってば・・・?」
「あ、いや、その…とりあえず大丈夫?」

手を差し伸べるとそれを掴んで立ち上がる少年



「ありがとうってばよ」
「いえいえ、水かかってない?風邪ひいてない?病院に連れて行こうか?」
「い、いっぺんに言われても困るってば」

「冗談さ」なんて言って笑うと少年はほんの少し頬を赤くした




「水、少しかかったけど、たいしたもんじゃねぇし、助けてくれて嬉しかったってばよ!」
ニカッと笑って答えてくれる可愛い少年





「オレってば人に助けてもらったことなんてなかったから、その、ありがとうってばよ!」
夕日に染まるほんのり赤い頬


「いいよ、私ああいうの嫌いだし。君が無事でよかったよ」
「あー、自己紹介してなかったってば」









―――――うずまきナルト!火影になる男だ!








後半については二回聞いたから印象的。
ナルト君はとても輝いて見えた

夢に、希望に。目標ってすごいなって。
最近色んなことがありすぎて落ち込んでいた私にとってナルト君は眩しかった







「私は藤宮アカネ。よろしくね、ナルト君」



たいした自己紹介もできない私に「ナルトでいいってば!」っと言って大きくブンブンと握手してくれた
「私もアカネでいいってば!」というと「真似したなー!もうアカネちゃんて呼ぶってば!!」ともっと手をブンブン振るナルト





私が「あ、そういえば」というと同時にピタリと動きが止まるナルトをちょっと面白いと思ってしまった



「水がかかったって言ってたよね、ごめんね。私の家アカデミーから近いからシャワー浴びて帰りなよ」
「で、ででででも!オレなんか行ったら、アカネちゃんに迷惑かけちゃうってば…」


ナルトは不安げでしょんぼりとした表情で訴える



「迷惑なことないよ。ナルトは私の友達だから。それに元々水をかけたのは私なんだから気にしなくていいんだよ」







だから、大丈夫!

手を引けば嬉しそうに笑うナルト
手をつないで家に帰る

こっちにきて初めて手を繋いだ気がした

懐かしい気持ちになった



お礼を言うのはこっちかも。
ありがとう、ナルト。



―――――初めてのトモダチ








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