復刻版「正義の紳士(ジェントルマン)」
□墓参り
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コナンは中里家に来ていた。
(ここになら、例の手紙があるかも…!)
下駄箱、リビング、真優の部屋―
コナンはくまなく探すが、どこにも見当たらない。
「くそっ!捨てられちまったか!」
コナンが諦めて帰ろうとすると、固定電話の近くに、見覚えの無い寺のパンフレットとハガキがあった。そして、そこには、
《故人様の永年供養させて頂きます》
の文字が―。
「もしかして…」
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ハガキにあった寺は米花町から15kmほど離れた郊外にあった。
寺はこじんまりとした外観で、奥には墓地が広がっていた。本堂に行くと、住職がお経を唱えていた。
「すみませ〜ん」
コナンの声に反応した住職は、笑顔で寄ってきた。
「坊や、どうしたんじゃ?」
「ここに中里龍司さんのお墓ってありますか?」
「あるとも。君は中里さんの知り合いかね?」
「うん!菜々子さんと真優姉ちゃんがお参り出来なくなっちゃって、僕が代わりに来たんだ!」
コナンは子供の声で応える。
「それは、残念な事じゃ。先日ハガキを出したのじゃが、お見えにならなくて心配しておったのじゃ。」
住職はコナンにお墓の場所を教えてくれた。
「ねぇ住職さん。最近、中里さんのお墓に誰か来なかった?」
「最近は来とらんよ。じゃが、7回忌を過ぎた頃に、男の方がよくお見えになっておったのぅ…。」
住職は目を細めて当時の事を思い出そうとしている。