復刻版「正義の紳士(ジェントルマン)」
□知らない過去
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翌日、真優は自宅療養の為、退院する事になった。
千葉の運転で、小五郎、蘭、コナンと一緒に米花町へ向かった。
「ねぇ、折角だから、真優ちゃん家に行こうよ。着替えもいるし、何か思い出せるかも!」
蘭の提案で、一行は真優の家に向かった。
家の中は閑散として薄暗かった。
真優は、初めて見るかの様に家の中を見渡す。
蘭は近くの写真立てから1枚の写真を取ってみせた。
「真優ちゃん。これ、ダンスの世界大会の時の記念写真!アメリカであって、真優ちゃん優勝したのよ?」
「私が…?…この隣にいる人は?」
真優が指さしたのは母・菜々子だった。
「この人は真優ちゃんのお母さん。真優ちゃんを女手1つで育ててくれてる人よ。覚えてない?」
蘭は、せめて、母親の顔だけでも見覚えがあって欲しいと思いつつ、真優の顔を覗き込んだ。
「ごめんなさい…。全く…。」
真優は首を横に振った。蘭が落ち込んだ顔をすると、真優は咄嗟に付け足した。
「でも、なんだか凄く嬉しい気持ちになります。何故だかは分からないけれど、この人に会ってみたいなって思います。」
「だけど、今、菜々子ちゃんとは連絡が取れねぇんだ。」
小五郎が言う。
暗くなった雰囲気を切り替える為に、蘭は着替えの支度に取り掛かった。
真優が他の所を物色していると、机の上のノートパソコンに手が当たった。
「それは、真優姉ちゃんのだよ!真優姉ちゃんパソコンに詳しいんだ!」
コナンが説明すると、真優は、おもむろにパソコンを持ち上げた。
「あの…。このノートパソコン、持っていても良いですか?」
尋ねられた小五郎は、戸惑う。
「でも、重たくないか?」
すると、コナンが、ショルダーバックを持ってきて、それにノートパソコンを入れた。
「こうすれば、大丈夫でしょ?」
そう言うと、小五郎も了承した。