復刻版「正義の紳士(ジェントルマン)」

□最悪な接点
1ページ/3ページ


記憶を失ってから2日後。
真優の頭の傷は完治していた。

精密検査や、内科的診察の結果、外傷性のものでは無く、心因性の『逆向性健忘』(記憶喪失)と診断された。

午前中に診断を聞いた真優は、自分の名前が『真優』だという事は理解出来るようになった。しかし、それ以外の記憶については1つも思い出せていなかった。






「ごめんね…。どうしても思い出せなくて…。」

真優は、見舞いに来てくれた探偵団に謝った。

「謝る事ありませんよ!それに、ここにいる蘭さんだって、以前、記憶喪失になった事があるんですよ!」

光彦が蘭に目線を向けて言った。

「そう…なんですか…?」

真優は、驚いたように蘭を見た。

「ええ!でも、ここにいる探偵団の皆やコナンくんに哀ちゃんが必死になって私の記憶を取り戻してくれたの!最初は不安で仕方ないと思うけど、ふとした時に思い出すわよ、きっと!」

蘭は真優の肩を優しく撫でた。

「はい…!」

遠くの柱の影には、三屋が目を光らせていた。

真優が、その視線に気付いて見つめていると、元太が言った。

「あのおっちゃんは、姉ちゃんの事をオレ達から奪おうとしたヤツなんだぜ!」

「えっ?」

真優はきょとんと元太を見る。

「ほんと!真優お姉さんは、私達、少年探偵団が絶対に渡さないから!」

歩美が真優の手を握る。

「ありがとう…。」

真優は微笑む。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ