復刻版「正義の紳士(ジェントルマン)」
□プロローグ
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【本日未明、東都刑務所に収容されていた早村 和人死刑囚が、脱獄するという恐ろしい事件がありました。現場から中継です。】
テレビ画面には、破壊された壁が映し出されていた。
【えぇ。この様に、壊された壁は酷い有り様となっております。早村死刑囚の行方は未だ特定されておらず、現場近辺の住民からは、不安と恐怖の声が上がっています…】
テレビでは、その後、専門家等の早村の逃走する場所の予想や、近隣住民へのインタビューが行われていた。
「大変な事件だな…。」
博士の家に探偵団と遊びに来ていたコナンは、朝からずっと見ているこのニュースを真剣に観ていた。
「それにしても、派手にやったわね。あんな分厚い壁をどうやって破壊したのかしら。」
哀も、コーヒーを飲みながらニュースに耳を傾ける。
「他のニュースで観たところによると、どうやら、壁にはエタノールが塗られておったそうじゃぞ。」
博士は、テレビを仮面ヤイバーに変えて、そう伝えた。
(エタノール…。強い引火性をもつ薬品だ…。つまり、この死刑囚はエタノールに火を近づけて壁を爆破させたのか…。にしても、どうしてそこまでして、脱獄する意味があったんだ?)
コナンの脳内には、無数の疑問点が浮かんでいた。
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とある薄暗い部屋では、ある人物がパソコンを操作していた。
そしてenterキーを押して、画面上には、
『ロック設定』
の文字が。
そして、隣のもう一つのパソコンには、巨大な建物の見取り図と、配線が書き込まれた画面が出ていた。
それらをひとつのプログラムに組み合わせた人物は、フッと笑い、パソコンを閉じた。