短編集♪
□フラッシュ・バック
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それが起きたのは、偶然と言えば偶然なのだけど…。
私は新一君と哀ちゃんと探偵団の皆で博士の車に乗って、少し遠いキャンプ場までキャンプをしに来ていた。
そのキャンプ場は近くにとても長いトンネルがある事で有名な所で、トンネルを作った業者の人が、長すぎるトンネルに飽きない様にと、トンネル内には可愛らしいイラストが十メートル間隔で描かれている。
私は、膝の上に乗せている新一君が退屈そうな顔で外を眺めていたので、
「新一君、もう少し楽しそうな演技しようよ?」
と小声で聞くと、
「ったく、高校生にもなって、こんな子ども染みた絵で誰が楽しめるかよ。」
と新一君も小声で返す。
「もう……可愛げが無いなぁ。」
そんな事を呟いた時だった。
「皆、もうそろそろトンネルは終わりじゃよ‼」
博士が、前方が明るくなったのを見て、私達に言った。
「えー!?もう終わりー?」
「あっという間でしたねー。」
「もう一回見ようぜ‼」
探偵団の皆が思い思いの事を言っていると、突然対向車線のトラックがクラクションを鳴らしてこちらへ向かってきた。
『真優っ‼』
『ギィーーー‼ガシャンッ‼』
『お父さん、お父さん‼起きてよっ‼』
「くぅ…はぁ…はぁ、はぁ、はぁ…」
突然襲った激しい息苦しさ。
博士が必死にトラックにぶつからない様に運転し、何とか事故は防げた様だった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、げほっ、げほっ‼」
呼吸は、どんどん速くなり、息を吸う暇を与えない。
「真優…?おい、どうしたんだ?おい、真優‼」
新一君が怒鳴った事で、皆が私に注目する。
「気に…しな…いで…はぁ、はぁ、げほっ、げほっ‼」
新一君は、私の状態が分かったのか、
「博士‼車を止めてくれ‼早く‼」
博士に指示を出した。
「分かった…‼」
しばらくして車はとまり、新一君は元太君にキャンプ場の人に休める所があるか尋ねさせた。
その間も、私の体内の酸素は少なくなり、意識が遠退いていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
「真優姉ちゃん、ゆっくり息吸って‼深呼吸するみたいに‼」
コナン君に言われた通り、ゆっくり息をしてみようとするけど、取り込んだ酸素が頭の中に入ってくると、またさっきの恐怖が蘇ってくる。
「はぁ、はぁ、こ、こ…わ…い…はぁ、はぁ、」
「何が怖いの?真優姉ちゃん。」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
そこで私は限界を向かえ、意識を手放した。