黒サガニ

□舞蟹
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「分かっている」
「変なの」
だが、それ以上言わず、デスマスクはシュラに凭れてきた。明らかに異常を伝える脈に不安になる。
「あぁ…」
何か合点がいったらしい声をデスマスクが出した。
「どうした?」
「大丈夫。薬なんか射たれてねぇよ」


シュラとは磨羯宮でわかれた。
アフロディーテは薔薇の世話をしていたので「急ぐから!」と遠くから手を振る。アフロディーテは勘がいい。そんな時には流してくれる。
良い友に恵まれたものだ。一人は気遣い隣で支えてくれて、一人は気遣い、受け流してくれるのだから。
デスマスクは覚悟を決めて階段をのぼる。
深刻なのは、報告しなければならないのは任務事態ではない。真実とは残酷で、知るものには覚悟がいる。勿論、伝える者にもだ。
謁見の間に、教皇はただ一人。ドアはかたく閉ざされ、人払いがなされた。
「このように、血で穢れた身での帰還…申し訳ございません」
沈黙。こうべを垂れたままのデスマスク。
カタリと仮面を外す気配。頭はそのまま、ずらした視線に闇色の髪を認めたデスマスクはくぐもった声で笑い出した。
「サガ…今回のは失敗だ。人数を増やしたら意識が残ったままだったぜ?殺意を感じてから10人の設定だ
ろ?24人まで惨殺しちまって…見ろよ、このざま!」
立ち上がると大袈裟に手を広げ、全身にまとわりつく血をこれみよがしに見せつける。
「一般ピープルに仲間殺しとかさせて発狂させたいなら、意識が残ってんのは構わねぇよ、だけど、こんなん聖闘士に使ってみろよ。あっさりと破られんぜ?俺はどうせ殺る敵だし、どんだけ失敗があるか確認してるだけだから、むしろ破らないように精神使ったけどよぉ…」
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