聖衣思念体

□訴え
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Sideサガ


教皇への不信が控え目に…しかし表に近い場所に生じた日、夢枕に蟹が出た。

女神の戻られる時が近づいている。双子座の加護をうけし者よ、女神の戻られる日も近い。もはや愁いを捨て、拙き女神を支えるべく途を戻れ。償いは済んだ。聖域は機能している。それで十分だ。全てを抱え、道連れにすることなく来るべき聖戦に備え、新たな聖闘士を鍛え、後に女神の審判を待つのもよいではないか。トップが変わらねば動きが変わらぬ。それはお前が先の教皇にしでかしたことより易いはずだ。何も否定ばかりではないと、潔癖すぎることはないと……

つらつらと蟹が話しかけて来た。

「私は…女神に顔向けは出来ません。せめてこの胸のうちを打ち明けて、詫びたいだけなのです。女神が現れるその日まで忌まわしき男を可能な限り抑え、詫びたいだけなのです」

血が流れてもか…

「血など恐れません」

そう応えると、蟹は消えた。



初めて従者をくびり殺した日、夢に蟹が出た。

純粋ゆえに悪しき双子座の加護をもつ者よ。女神の戻られる日は近い。それでも女神を滅ぼして、途を行くと言うのか。

ぽつぽつと蟹が話しかけて来た。

フッ…ハハハハ…

一笑すると
蟹は消えた。


デスマスクが聖衣に見放されて死んだと話すのを聞いて、私はその蟹を思い出した。
本当に、どちらのサガも、自分しか見えていなかったのだとその時気付かされた。





Sideデスマスク


教皇様の命令で積尸気の行列を数列増やした日は、夢見が悪い。


枕に涙する顔が、今日も出た。

「お前は゛デスマスク゛か?」

あまりにしくしく泣くから聞いてやる。

違います。

「じゃあ誰だ…」

では、貴方は誰なのです?
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