聖衣思念体

□冥蟹
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彼が初めてのヒト。

そして最後のヒト。


デスマスクなんてちょっと冥界よりでいい名前。
聖闘士から冥闘士に転職したんだって。

笑顔が可愛い。

照れ方可愛い。

僕の初めてのヒト。

そして最後のヒト。

だって、僕はハーデス様がにわかに作った蟹座の偽物で、より暗く輝けるように鋭さを付けた偽蟹。
僕を纏えるのはこのヒトだけで、僕はこのヒトに纏ってもらうためだけに生まれた。
例えば彼が永遠を得たとして、纏うのは僕。
例えば彼が敗れ、もしくは裏切れば、所詮は紛い物。仮初めの命は夜明けに僕と散る。

だから彼は僕の初めてのヒト。

そして彼が僕の最後のヒト。

僕の知識は乏しくて、冥竜先輩が言った意味がわからない。



僕は白面。僕は無知。僕は白痴?



僕は僕。



痛いイタイ痛い…いたい。



ごめんなさい。脆くって。ごめんなさい。傷つけて。
僕の初めてのヒト。

「ゴメンナ」
そう呟いて僕を置いてきぼりにした僕の最後のヒト。

脚一本、爪の一つ、連れて行ってはくれないの?
本物の蟹座の、目に痛いまばゆい黄金色が好き?

でも聴こえたよ。
聴こえたんだ。
「アリガトウ」
偽りに付き合ってくれて有り
難うって。

僕の初めてのヒト。

そして僕の最後のヒト。




冥蟹 だから、たまには来てください。来て着てください。
デス は?
冥蟹 冥界に来たら、僕と蟹さん先輩を半分半分、着てください。
デス 嫌だよ。
冥蟹 (瞳うるうる)
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