黒サガニ

□誰が為に
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デスマスクには教皇が今までの教皇とは別人で有ることがそちらに意識を向けるだけで―教皇の間を一目しただけで理解できた。


一応確認までに積尸気に自らをとばすと辿り着く入口。見慣れた教皇の霊魂は列に混じり振り返りもせず項垂れて歩いていた。
「マジかよ!」
急病や老衰で倒れたのであれば聖域は騒がしいはずだ。が、そんな気配は微塵もない。
「誰が殺りやがったんだ?」
同期のシュラやアフロディーテではない。
新米の黄金では、ジジイとは言え教皇に軽くあしらわれるだろうし、弟子には油断するかもしれないがムウに違和感は感じなかった。
サガかアイオロスか…
再び聖域に―巨蟹宮に戻り目を凝らす。
どちらの宮にも、小宇宙を感じる。
全くの部外者では、あそこまで執務をこなせる筈がない。
任務の報告がてら教皇の間を訪れ、発せられる小宇宙と薄く光る魂の色を眺める。
見知った魂のようでもあり全く別のものでもあるその色と小宇宙…結局のところ別人をあまり長々と視るわけにもいかないため誰であるのかはその場ではわからなかった。


首を傾げながら降るデスマスクにアフロディーテが声を掛ける。
「報告書、ダメ出しでもされたのか?」
「ん?いや…」

凄いじゃないか!君の報告が一発OKなんて」
「なぁ…」
「何だ?」
俺が任務中にあった事を…どんな些細な事でも教えてくれ…と言いかけてデスマスクはやめた。
「俺はそんなに報告書が下手なのか?…そのシュラよりも?」
「自覚なかったのかい!」
それにシュラは口下手だけどそのかわり文才がある。流石に対、君とは真逆だとアフロディーテはほころんだ。
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