黒サガニ

□Desire another side 2
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双子との生活が気に入らない訳ではない。
だが、時折最大にまで小宇宙を高め戦闘体制に入ってみたくもなる。
二人に伝えれば空間の一つも歪めてくれるだろうが、小屋で翼をひろげても城で翼をひろげても囲われていては意味はない。
ほんの一瞬だけミロは殺気と小宇宙を解放した。


異様な殺気と小宇宙をデスマスクが感じたのは任務帰りのことであった。
(今の…俺以上の小宇宙だぜ?)
厄介事は嫌いだが今、黄金聖闘士が足りていない。
天秤は青銅のガキが候補になっているが、蠍と双子が不在である。
いい拾い物であれば自分の雑務が減る。
そんな軽い気持ちで、辺鄙な町に足を運ぶことにした。
小さな店が並んでいるその通りに、一人の男が歩いていた。
何故だか分からないが、デスマスクは咄嗟にその男の腕を掴んだ。
白金の髪を揺らし、男の眼が驚愕に開かれる。
「悪りぃ…人違いだ」
俺が探してる人は黒髪なのに、なんで正反対な色のあんたの手を掴んじまったんだろうな…とデスマスクは決まり悪そうに笑うと、その辺の店から一際美味しそうな林檎を買って男に手渡した。
「驚かせちまって悪かったな」
そう言って足早に立ち去った。
林檎を渡された男の指先が震える。そし
て呟いた。
「デス…マスク…」
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