その他

□涙の雫
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宝瓶宮は氷に包まれていた。
中の人を守るように、中の人が引きこもるように…


冷たさと熱さを繰り返しながらすらりとした指先がデスマスクを探っている。
…はぁ…ん…!
壁に押し付けられたデスマスクから甘く切ない声があがるたびに、カミュは肌を食み、身体が跳ねるたびに爪をたてる。
熱く吐き出された息は白く髪にかかれば凍るほど周囲は寒い。
…頼む…から…冷やすな。
懇願するデスマスクにカミュは癖だと冷たく笑う。
周囲を冷やし、熱い指で触れた時のデスマスクほど好い声でなく生き物をカミュは知らない。
悲痛でいて甘く。雑なのに深く、拒絶しながらも自分を受け入れてくれる男がデスマスクなのだ。

年下に抱かれる気分はどうだ?
背を壁から引き剥がし手をつかせると、軽く弄っただけの蕾にそそりたつ自身を捩じ込んでくる。
はぅ…ん!
根元まで咬ませれば必然的に密着度が増し、カミュの熱と鼓動がより多く伝わってゆく。
他は酷く扱うのに性器だけは殊更優しく扱うのは卑怯としか言えない。


何時もは泣こうが叫ぼうが荒くつき動くカミュだが、今日はデスマスクの内部で脈を壁に伝えるだけに留めている。
前を弄ばれ、後ろで受け入れたまま伝わる熱に想
像だけが先走り、勝手な身体は反応を始める。
っ…あ…
腰をカミュに押しあてて動かせばじんわりと快感が全身に広がってゆく。
はっ…あ…
激しく突かれさえしなければデスマスクとて黄金聖闘士である、零下20度程度なら全裸でも凌げるだけの小宇宙調整は出来る。
それに、幸か不幸かカミュと肌を重ねるたびに冷やされまくるので聖闘士の性か耐性がついてきたようである。
へへ…あんま年上をナメんなよ。
そう言って体制を変えようと思ったデスマスクが息を呑む。
外気より高い温度の氷が―そんな事が出来てしまうこの魔術師が何より恐ろしいが―手足を固定していた。
ああ…なめてなどいない。私は至って冷静だ。
舌先が肩甲骨をなぞる。
水気は直ぐ様表面で冷えデスマスクから熱をキリキリと奪う。
悪趣味!卑怯者!
デスマスクが叫ぶ。
フッまた呼び名が増えたな。
変態!
どこか楽しげなカミュにお決まりの単語を投げつければ鋭く穿たれた。
っあ…ああ!
袋に指がかかり、中身を優しく転がされる。
ひぁん…やめ…ッつぅ…!
快楽に気を抜けば後ろの衝撃をこらえられず凍てつく枷に身を削られる。
いやだ…カミュ!
高ぶる感覚に抜ける熱。精神に行き場がなくなる。
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