その他

□ココア
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シュラの熱と自分のそれを下肢に感じながらデスマスクは何故こんな事になったのかを考えていた。
そうだ…剣のように冷めたかったシュラの指先を温めようとココアをいれたのだ。
より温まる為に生姜を入れようかと思ったが、多分好みではないな…とラム酒を入れてみた。
友がラムレーズンを好きなのを思い出したからだ。

「有難う」
仲間にしか解らないような微々たる笑顔でシュラはそれを飲み干した。
「ゆっくり飲めよな」
カップから伝わる熱を楽しみながら飲んで欲しかったものだと、デスマスクはぼやいた。
「すまない…美味しかったもので」
そんな可愛い言葉におかわりを作りに戻る。
「すぐに持ってきてやるから、それで温もってな」
半ば強引に自分のカップを押し付けて。
ふとラム酒片手にイタズラ心が疼く。二杯目の調合を少し変えてみるのだ。
いつもおかわりが同じとは限らない。不評であればシュラに持たせてある自分のものと交換すれば良いだけの話だ。
何食わぬ顔でシュラにそれを差し出せば、酒かココアか…そんな湯気が香った。
一瞬シュラが戸惑った。
「悪い、ちょっと手元が狂って入れすぎた」
素直に嘘で謝る。
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