Once upon a time
□Once9
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「ジャック!次のお話は?」
今日は父さんと母さんは家に帰ってこない。
何でも明日古い友人の結婚式があるらしく、夜のうちから出かけてしまった。
なまえは夕食を作りに家に来てくれたのだが、もう遅いからと泊まってもらうことにしていた。
「まだ読むのか」
エマを寝かすために本を呼んでいた僕は深くため息をついた。
2冊ぐらいで寝てくれると思っていた僕が甘かった。
目を輝かすエマの横でなまえはクスクス笑っている。
「なまえ、次は君が読んでくれないか」
『嫌よ。ジャックの読み方の方がうまいもの。ずっと聞いていたいわ』
僕の提案になまえはすぐ否定した。
ああ、褒めて逃げる作戦ね。
なまえは僕の扱い方がうまいよ。
僕はもう一度ため息をついて本を探す。
なんか聞くと眠くなる本とかないのかな。
僕は散らばる本の中から1冊の本を手に取った。
綺麗な川とその水面に映る木々が描かれている絵本だった。
題名も気に入った。
これだけで眠くなる。僕だったら。
「ねー早く読んで!」
エマが待ちきれないとばかりに声を上げた。
なまえも目を輝かせて僕を見つめた。