story
□story10
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パーティーを終え、僕たちは部屋に上がる。
なまえは久しぶりに家に泊まることになった。
「なまえ嬉しそうだね」
兄さんはお風呂に入っていて部屋には僕となまえだけ。
兄さんにもらったネックレスを大事そうに手にとるなまえに僕は声をかけた。
『嬉しいよ。タダシが私のために買ってくれたんだもん』
なまえは素直にそう言って笑った。
その顔があまりにも嬉しそうでちょっとだけ妬けた。
「男の人が女の人にアクセサリーあげるのって独占力のあらわれなんだって」
つい意地悪を言いたくなってそう言えば、予想通りなまえの顔が赤くなった。
『何でそんなことヒロが知ってるの』
「本に書いてあった」
『ふ、ふーん』
「なまえってさ、兄さんのこと好きだよね」
ああ、聞いちゃった。
『な、な、なんで』
思いっきり動揺してるよ。
聞いたのは僕だけどそのあからさまな反応に泣きたくなった。
『好き、なのかな』
「へえ」
なまえの言葉に僕は興味ない返事をしたけど、ショックを隠しきれない。
『でもタダシから見たら私なんてただの妹なんだろうな』
なまえが悲しそうに呟いた。
なまえから見たら僕なんてただの弟なんだろ?
思わず口に出してしまいそうになったけどそれを慌てて飲み込んだ。