immortalsU
□immortals34
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あれからすっかり仕事が手につかなくなった私は、デスクに頬杖をつきクルトが来るのを待っていた。
「なまえ、入るぞ」
ドアの外からクルトの声。
私はすぐドアを開けに走り、ソファに座るよう促した。
デスクとパソコンしかなかった簡素だった部屋。
今ではクルトが持ってきてくれたソファやチェストのおかげで、すっかり生活感が出てきた。
「なまえ、今から話すことはなまえにとって辛いことかもしれない」
それでもいいのか、とクルトは私の目を真っ直ぐ見つめた。
『覚悟はできてる。全部話して』
そう言えば、「よし」と呟き話をはじめた。
「まず単刀直入に言うけど、なまえのお母さん、リカさんが死んだのは事故なんかじゃない」
『えっ・・』
「メランは優秀な人材をどんどん集めて、自分の金稼ぎの道具にしてるんだ。
色んな大学の講演に行ったり、発表会に行ったりして、ちょっとでも金儲けになりそうな物はすぐ買う。そんでそれを作った奴も買う。メラン自身は科学とか工学とか、何も知らないくせに、だ」
『でも、メラン・ストケシアの名前で論文とか本とか出してるよね』
彼の論文は一度読んだことがあった。
悔しいけど、その論文に感銘を受けたこともあった。
「それなんだ。会社のトップが何もしらないなんて世間様によく思われないだろ。
だから彼は、買い取った人材に論文書かせて自分の名前で世に出してるんだ」
『何、それ・・』
そんなのやっていいことじゃない。