*シナリオ*
□俺の前だけでかけて 〜シナリオ完成版〜
1ﾍﾟｰｼﾞ/14ﾍﾟｰｼﾞ
俺は榊 恭介(サカキ キョウスケ)25歳。
若くして眼鏡屋を開き、店長を勤めているスーパーイケメンナイスガイだ。
夢は眼鏡に囲まれて死ぬことと言っていいほど眼鏡が好き。
眼鏡をかける仕草やその奥に隠れている瞳が大好きなんだ。何よりも賢く見えるしね。
そんな俺は、眼鏡が純粋に似合う女の子を日々探しているんだが…
一瞬、息を飲んでしまうとはこのことだ。
釣り目がちの瞳に長い睫毛、白く透き通った肌、指通りの良さそうな綺麗な髪、少し幼さがあるどこか浮世離れした顔立ち。
そして、銀縁の眼鏡。
思わず見惚れてしまう程とても綺麗で、声をかけずにはいられなかった。
…居るじゃん、眼鏡が似合う子。この子を見た瞬間、俺は直感で思った。
『コレだ、この子だ』
｢君…！！｣
梅雨時の６月にかけてから、７月にかけての出来事。
それは、ドラマのような展開で。
気が付いたら俺は彼女の腕を引いていた。
2017年 若者文化祭バージョン
一人朗読劇
『俺の前だけでかけて』
怪訝そうな彼女をなんとかカフェに連行し、彼女は今優雅に紅茶の香りを楽しんでいる。
榊｢なんか怒ってる？｣
香里也｢当たり前じゃないですか。見ず知らずの人に強引に連行されて、不機嫌にならない方は居ないかと｣
榊｢ですよねー｣
香里也｢で？｣
榊｢『で？』って？｣
香里也｢話ってなんですか？用件は手短にお願いします｣
榊｢え、じゃ、じゃあ…率直に言うよ？｣(戸惑いながら)
香里也｢どうぞ｣
榊｢俺に眼鏡を選ばせてください！！｣
香里也｢嫌です｣
即答されたああぁぁぁああああああああ！！！！
榊｢えええええ！？そこをなんとかお願いします！！｣
香里也｢嫌です。大体なんですかその言い方。『私の眼鏡が悪い』とでも言いたいんですか？失礼にも程があります｣
榊｢違うよ！今の眼鏡も超似合ってる！でもね、何本か持ってた方がいいんじゃないかなって！！｣
香里也｢そんな大金どこにあると思ってるんですか｣
榊｢ここ｣
自分のバッグからブランド物の財布を取り出し、それを彼女に見せる。
榊｢予算はいくらぐらい？｣
香里也｢私そんなお金持ってないんですが｣
榊｢ノンノン、何のためにここに俺が居ると思ってんのさ｣(瞼を閉じてドヤ顔すると、香里也がハッとする。)
香里也｢まさか…あなたが？｣
榊｢そっ！俺が買ってあげる！｣
と言うと、何故か彼女は複雑そうな顔をしていた。
榊｢俺だったら、君の魅力をもっともっと引き出すことが出来ると思うんだ｣(真面目)
香里也｢どこからそんな自信が溢れて来るのか知りたいですね｣
榊｢まあまあ、それはいいとして。まず君の顔の特徴を知りたいから眼鏡を外してくれないか？｣
香里也｢はあ………嫌なんですよ。そういうことを言われるの｣(そう言うと、彼女は今まで以上に嫌悪を浮かべていた。)
榊｢なんで？｣
香里也｢分からないけど、よく眼鏡を外してって言われるんです｣
榊｢ほお｣
変わった奴も居るもんだ。眼鏡を外せなんて、俺だったら絶対言わないね。