*シナリオ*

□『俺の前だけでかけて』
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 俺の名前は榊 恭介(サカキ キョウスケ)25歳。
若くして自分の眼鏡屋を開き、店長を勤めているスーパーイケメンナイスガイだ。
夢は眼鏡に囲まれて死ぬことと言っていいほど眼鏡が好き。
眼鏡をかける仕草やその奥に隠れている瞳が大好きなんだ。何よりも賢く見えるしね。
そんな俺は、純粋に眼鏡が似合う女の子を日々探しているのだが…

一瞬、息を飲んでしまうとはこのことだ。
釣り目がちの瞳に長い睫毛、白く透き通った肌、指通りの良さそうな綺麗な髪、少し幼さがあるどこか浮世離れした顔立ち。
そして、銀縁の眼鏡。
思わず見惚れてしまう程とても綺麗で、声をかけずにはいられなかった。

…居るじゃん、眼鏡が似合う子。この子を見た瞬間、俺は直感で思った。

『コレだ、この子だ』

「君…!!」

 梅雨時の6月にかけてから7月にかけての出来事。
それは、ドラマのような展開で。
気が付いたら俺は、彼女の腕を引いていた。

2017年 若者文化祭バージョン
一人朗読劇
『俺の前だけでかけて』


 怪訝そうな彼女をなんとかカフェに連行し、彼女は今優雅に紅茶の香りを楽しんでいる。


榊「なんか怒ってる?」
「当たり前じゃないですか。見ず知らずの人に強引に連行されて、不機嫌にならない方は居ないかと」
「ですよねー」
「で?」
「でって?」
「話ってなんですか?用件は手短にお願いします」
「え、じゃ、じゃあ…率直に言うよ?」(戸惑いながら)
「どうぞ」
「俺に眼鏡を選ばせてください!!」
「嫌です」

即答されたああぁぁぁああああああああ!!!!

「えええええ!?そこをなんとかお願いします!!」
「嫌です。大体なんですかその言い方。『私の眼鏡が悪い』とでも言いたいんですか?失礼にも程があります」
「違うよ!今の眼鏡も超似合ってる!でもね、何本か持ってた方がいいんじゃないかなって!!」
「そんな大金どこにあると思ってるんですか」
「ここ」

自分のバッグからブランド物の財布を取り出し、それを彼女に見せる。

「予算はいくらぐらい?」
「私そんなお金持ってないんですが」
「ノンノン、何のためにここに俺が居ると思ってんのさ」(瞼を閉じてドヤ顔すると、彼女はハッとする。)
「まさか…あなたが?」
「そっ!俺が買ってあげる!」
と言うと、何故か彼女はなんともいえないような顔をしていた。

「俺だったら、君の魅力をもっともっと引き出すことが出来ると思うんだ」(真面目)
「どこからそんな自信が溢れて来るのか知りたいですね」
「まあまあ、それはいいとして。まず君の顔の特徴を知りたいから眼鏡を外してくれないか?」
「はあ………嫌なんですよ。そういうことを言われるの」(そう言うと、彼女は今まで以上に嫌悪を浮かべていた。)
「なんで?」
「分からないけど、よく眼鏡を外してって言われるんです」
「ほお」

変わった奴も居るもんだ。眼鏡を外せなんて、俺だったら絶対言わないね。
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