綺麗なバラには棘がある
□第一話
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「ごめんな、あいつそそっかしくて」
「大丈夫です、もう慣れましたから」
中学の時は散々振り回されたものだ。
「そっか、お互い大変だな」
よしよし、と頭を撫でられる。
悪い気はしないが、やっぱりほとんど初対面の人に、しかも先輩の彼氏に頭を撫でられるのは後ろめたさが若干浮き出る。
「しかし、薫ちゃんは可愛いねぇ〜、清楚美人ていうのはこのことなんだろうな」
「お世辞はよしてくださいよ、御幸先輩みたいな人に言われたら誰でも勘違いすると思いますよ」
「え?それってもしかして俺に惚れちゃったとか?」
「いいえ、社交辞令です、あと彼女がいるならあんまり女子を寄せ付けるような言動や行動は慎んだ方がいいってことです」
御幸先輩は唖然とした顔をしていたが、すぐに口元を手で隠し、
「プフ・・・・はははっ!そっかそっか!社交辞令ね?面白いなぁ薫ちゃんは、・・・・・・やりがいがありそうで・・・・・」
「?」
最後の方があんまり聞き取れなかったが、御幸先輩は私の言ったことに少しも動じなかったらしい。
「ごめーん!待たせた!」
先輩が帰ってきた。
「いいって、薫ちゃんからお前の話いーっぱい聞いたから」
「えぇー!なにそれ!薫!何言ったの?」
「え?わ、私はなにも言ってな・・・」
「いーからいーから、ほらお礼するんじゃなかったのか?」
御幸先輩は私と先輩の間に割り込み、先輩の頭をポンポンと軽くたたく。
「あ、そうだ、これからね、お買い物するんだけど、薫も一緒にいこうよ」
「遠慮しときますよ、私がいたらお邪魔になるし」
「いやいや、こいつ止めんの俺だけじゃ無理っぽいからいてくれるとすげー助かるわ」
「ちょっとそれどーいう意味よ」
何考えてるかわかんないけど私の気持ちも考えてほしいのですが・・・気まずいでしょうが。