僕の声が届くまで

□第二話
1ページ/6ページ

「当麻鳴……だっけ?今思い出したよ」

及川さんの少し低くなった声が聞こえた。

「君のプレー、一度見たことがあったんだ、サウスポーで目立ってたし」

「そうですか?そしてそれがどうかしましたか?」

「どうもしないけど…あ、そうだ、今マネージャーを探してるんだった!」

「えぇ、知ってますよ、国見くんに今朝声をかけられました」

「ふん、なら話は早いよね、フフ・・・人選チョイスいいじゃん、国見ちゃんにしては」

「人は選んでないって言われましたけどね」

「まぁまぁ、細かいことは置いといて!さぁどうする?」

「どうするったって・・・」

及川さんの目は、瞳は、「入るよね?この及川さんが直々に頭下げてんだからさ」と言っているようだった。

彼は一ミリほども頭を下げてはいないけれど、むしろ私を見下しているけれど、

・・・・でも、私はみんなを支えるのには向いていない、それに私はバレーをしてる方が好きだから。

「考えさせてください」

「どうして?どうして迷うの?バレー好きなんでしょ?」

及川さんは少しかがんで、私の目線に合わせる、私の身長はそこまで小さくないけれど、それでもだ。

「バレーは好きですよ、でもそれは見ることじゃなくて、やることなんです」

「あっそう、じゃあ、なんでバレー部に入らなかったの?」

「それは・・・」

私は目線を右足に向けた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ