僕の声が届くまで
□第二話
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「当麻鳴……だっけ?今思い出したよ」
及川さんの少し低くなった声が聞こえた。
「君のプレー、一度見たことがあったんだ、サウスポーで目立ってたし」
「そうですか?そしてそれがどうかしましたか?」
「どうもしないけど…あ、そうだ、今マネージャーを探してるんだった!」
「えぇ、知ってますよ、国見くんに今朝声をかけられました」
「ふん、なら話は早いよね、フフ・・・人選チョイスいいじゃん、国見ちゃんにしては」
「人は選んでないって言われましたけどね」
「まぁまぁ、細かいことは置いといて!さぁどうする?」
「どうするったって・・・」
及川さんの目は、瞳は、「入るよね?この及川さんが直々に頭下げてんだからさ」と言っているようだった。
彼は一ミリほども頭を下げてはいないけれど、むしろ私を見下しているけれど、
・・・・でも、私はみんなを支えるのには向いていない、それに私はバレーをしてる方が好きだから。
「考えさせてください」
「どうして?どうして迷うの?バレー好きなんでしょ?」
及川さんは少しかがんで、私の目線に合わせる、私の身長はそこまで小さくないけれど、それでもだ。
「バレーは好きですよ、でもそれは見ることじゃなくて、やることなんです」
「あっそう、じゃあ、なんでバレー部に入らなかったの?」
「それは・・・」
私は目線を右足に向けた。