僕の声が届くまで
□第一話
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「頼みがあるんだ」
そう言ったのは顔見知り程度にしか思ってなかったクラスメイト。
北川第一中学校出身ぐらいしか接点のない男子生徒だった。
「何?」
「あの、うちの部活のマネージャーをしてもらえないか?」
眉を歪ませる。
「何部の?」
彼は、俺を見てわからないのか?と言わんばかりの表情であまり大きな声では言わずに、
「バレー部だよ」
――ドクッ………
「そんなの、私以外でもいいんじゃない?」
「んー、人は選んでないっていうか、君、中学校の時、バレーやってただろ?今はしていないみたいだけど」
「バレー知ってる人がやった方がいろいろ助かるってことなのかな?」
「まぁ、そんなもんだ、先輩たちも手のかからない女子を希望してるし」
一人を除いては、と彼は小さく呟いた。
「答えはすぐに出さなくていいから、でも、見学ぐらいには来てみたらいいんじゃないか?」
「え?あの……国見くん」
とっさに彼の名前が出てきた。
覚えてたんだ、少し驚きながら彼は、
「なんなら、今日にでも来る?」
「それはまた考えとくけど、そうじゃなくて…その、なんで私がバレーやってたこと知ってるの?私、部活に入ってたの中二の夏までだったのに」
「………君が思ってる以上に君は有名人だよ?少なくとも同じ中学だった人は知ってるんじゃないか」