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愛にも才能が必要だ

それは紛れも無い事実であり周囲に1人は必ずいる、どうしてこんなにも多くの人々に愛されるのかと思わせる彼や彼女の存在がその証拠だ


彼らには愛の才能がある

そして、明智もその才覚に恵まれた一人だった


秀でた容姿と頭脳、手先も生き方も器用な明智は愛し愛される術を生まれながらに知っていた

そして明智はその才能を遺憾なく発揮し、今の地位を手に入れた

高遠が舌で明智の唇をくすぐれば明智は素直に口唇を薄く開く

開かれた隙間に素早く舌を滑り込ませ、高遠は奥に潜む明智の舌を絡めとる

一方の高遠は、容姿と頭脳、手先の器用さは明智に負けず劣らずであったが愛の才能に関しては不遇と言わざるを得ない

彼は、人格を形成する上で最も必要であった親の愛情を知らずに育ち、初めて出来た友人を自分の手で殺めた

愛の才能に恵まれた明智、恵まれなかった高遠

愛情の表現を言葉に頼れば、語彙力の優劣がつくのは明らかだ

しかし、明智に依存するなど高遠にとっては破綻の前兆でしかなかった

今の仕事も明智も捨てるつもりはない

絡め取った明智の舌を高遠はきつく吸い上げて引きずり出す

高遠の巧みな動きに明智は下半身に熱を湛えながら舌を重ね合わせることをやめなかった

高遠は決して明智の愛の才能に胡坐をかこうとしなかった

高遠は自分に愛情が欠落していることを認め、元来の頭の回転の良さで明智の複雑な愛情に応えていった

相手の呼吸さえ飲み干そうとするような深い口付けの中、両者の腕がお互いの背中を這い回る

胸をすり合わせる様は、相手に自分の高ぶる鼓動を伝えようとしているかのようだ

明智は愛を知らないで育った高遠からのサインを一欠片も見落とさないよう気を巡らせる

高遠は明智の想いを1ミリも溢さないように懸命になる

愛の語彙に頼ることなく言葉以上に強靭かつ柔軟な、互いの意思に対する鋭く深い洞察で2人はその不自由さに挑む

ここぞという場所を見つけ、忙しなく肌を合わせる動きが次第に激しくなり

やがて口からは艶めいた吐息が漏れ始める

重なりあった部分が蕩けあうような行為は、最後しっとりとした抱擁へと変わっていった

けだるい――しかし心地よい倦怠感が空気に漂う中、幾度なく押し付け合う唇がゆっくりと力を抜いていった

離れる唇に、混じる吐息に、絡まる視線に、2人はまた互いの心を探り合う

手探りの以心伝心に慣れてしまえば、言葉による会話がいかに無粋であるかを知るだろう

言葉以上に明確に心を紡ぎ、会話以上に雄弁に感情を伝えるものを、2人は拾い合うのに必死になる

同時に溢される微笑みは、これこそが2人の愛の言葉だと言わんばかりだった





Fin
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