企画部屋

□プライべったー(夢女編)
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Kiss In Heaven




非番の日に骨董通りを歩いていると背後から短いクラクションの音
振り向けば今日の空に負けないほどの鮮やかなコバルトブルーのBMWが私の横で静かに停止された

フロントガラスが静かに下がればいつも職場で顔を合わせる容姿端麗な先輩

「こんにちは」

眼鏡越しから発せられるキラキラ光線はいつだって私の背中をぞわぞわさせる

「こ、こんにちは」
「お1人でお出掛けですか?」

コクリと頷くと助手席に乗るように促される



BMWは滑らかに走りだし骨董通りを北に進む
突然のことに私の心音が大きくなりすぎて運転している明智参事官に聞こえるのではないかと緊張してしまうほどだ
この過剰なほど気がつく先輩は私の慕情だってとっくに知っているだろう
車内ではたわいのない話しがされるがこの車がどこに向かうのかはわからない

自分から聞いてしまうと、この快適な空間が壊されるような気がして聞けなかった

「―−という訳なんですよ」

明智参事官に見とれながら話しを聞いていると彼の口角が上がった
ここ、笑うところかしらと思っているとフイに私の方に顔を向けてくる

「私の顔に何かついていますか?」

不意打ちだった
先輩は私が見とれていることに簡単に気が付いていた

「あ…いやぁ〜〜〜」

本当のことなんて恥ずかしくて答えられない
ドキマギと戸惑う私に明智参事官の顔が近づいてきた

「私に見とれていました――という答えだったら嬉しいんですけどね」



私の心臓が飛び跳ねた時と信号が赤で停止したのはほぼ同時だったと思う

――明智参事官の顔が見えなくなって唇に柔らかい感触が宿ったのは

最初は唇と唇を合わせるだけだったけれども
徐々に明智参事官の舌が私の下唇や上唇の形を確認するかのように這い
そして私の口内に入り込んできた

唇の内側を舐められ歯茎をなぞられると私の舌を絡めとられ強く吸われる
わざと水音を立てられた私は羞恥に染まるが抵抗する気力もその気もなく
ただ明智参事官のリードされるがままに私も舌を出して答える

唇が離れ舌と舌が絡まっている時に
クラクションの激しい音で現実に戻される

「私も我慢が足りませんね」

少しだけ愉快そうに言って明智参事官はアクセルをゆっくりと踏み出す



右手はハンドル、左手は私の手を握りしめながら




Fin
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