゚+long main+.

□Sound of the heart part1 結弦side
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彼女は自分の思うままに歌っているように見えた。

歌詞も、リズムも聞いたことのないものだった。

けど、不思議と引き込まれていくような綺麗な曲。

そして、その曲にピッタリあった綺麗な声とギターの音。

それらの驚きで、思わずその場で固まってしまった。

しばらくすると、彼女は歌い終わったようで
ふぅと息をついた。

俺はいてもたってもいられなくたって、パチパチと拍手をした。

その音に彼女は驚いたようで、目をまん丸くしてこちらを見た。

気づかなかったのかな?

「君歌上手なんだね。
 思わず聞き入っちゃったよ。」

ただただ素直な感情を言葉に出した。

そして、何故か驚かれた。

「もしかして、羽生くん?!」と。

ええ…、気づいてなかったのか…(笑)

そういや、自己紹介の時なんか上の空だったしな。

いや、別にずっと見つめてたわけじゃない!

うん、違う違う!

……まあ、それから何言か話をして、時計を見た。

「あ、俺もうそろそろ練習行かなきゃ。
 また明日学校でね。」

といって、家に帰ろうとした。

けど、なんかちょっと名残惜しい…。

とりあえず、もう少し話すきっかけを作ろうと
後ろに振り向いた。

「なんか、敬語は堅苦しいからため口でいいよ。
 あと、羽生君じゃなくて結弦ね。
 同じクラスメートなんだしさ。」

あ、初日からこんなこと言っても大丈夫だったかな?

怪しまれない?

と思ったのは、この言葉が口から出た後だった。

少し後悔していると、

「うん、わかった。
 また明日会おうね、結弦!」

と、満面の笑みで手を振って返事をしてくれた。

まさか本当に名前で読んでくれると思っていなかった。

また固まりそうになってしまったが、やっとの思いで

「うん、また明日。」

といって、走った。


ヤバイ、今の俺の顔大変なことになってるかも…。
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