゚+long main+.

□Sound of the heart part1
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「この学校では一人一人の生徒が、校訓に基づいたしっかりとした生活を送り…」

今は入学式の真っ最中。

校長先生のつまらないスピーチでついつい眠たくなってしまう。

私はそこそこの身長があるので、後ろのほうの列にいた。

まあ、少しだけなら寝てもいいかな…。

私は目をつぶり、少し寝ようとしていた。

すると、隣の男の子が私のわき腹を肘でツンツンとしてきた。

うっすらと目を開けて、男の子を見た。

「ちゃんと起きてなきゃ。
 あと少しで終わるよ?」

と、小声で起こされた。

ん?誰だろ、この人…。

なんかどっかで見たことある気がするんだけど…。

……ん〜〜〜、思い出せない。

「大丈夫?
 おーい、聞いてる?」

また同じく小声で話しかけてくる。

どうやらぼーっとしていたようだ。

「わっ、あ、はい。すみません。
 お、起きるように努力します。」

やっと返した返事がそれだった。

起きる努力ってなんだろう(笑)

「ふふ、それならよかった。」

その男子はふにゃっとした笑顔で笑い、また前を向いた。

…なんか女の子みたいな男の子だな。

私の最初の第一印象はそんな感じだった。


…でも、少しだけ…何かが高鳴った気がした。





やっと入学式が終わり、それぞれの教室へ戻る。

皆教室に戻るとガヤガヤし始めた。

でも私は友だちがいないので一人席について窓の外を眺めていた。

暇だなぁ〜…。

ただただぼーっとしていた。

そーいえば、さっきの男の子

やっぱりどこかで見たことある…。

なんかテレビで見たことあるような…。



すると、突然、

「ねえねえ、君!名前はなんていうの?」

と声をかけられた。

ゆっくりとその女の子のほうを見た。

なんか、活発そうな女の子。

髪の毛はショートヘア、目はぱっちり二重。

そして、満面の笑みで私のほうを見ている。

私がなりたいと思っているような女の子だ。

「柊 玲香です。」

と静かに言った。

ああ、こんな女の子になるのは遠い道のりだな〜…。

「へえ!可愛い名前!
 じゃあ、玲香ちゃんって呼んでいい?」

「はい、いいですよ。」

「あ、ちなみにあたしは、
 椿 桃花!
 あ、あと同じクラスで同じ学年なのに敬語って言うのは堅いよ!
 だから、ため口ね。」

「う、うん。」

グイグイ来る子だなぁ。

「私さ、中学校の友達と学校離れちゃったんだよね。
 というか、わざと違う学校にしたんだけど。」

あははと笑う女の子。

あ、私と同じだ。

「たぶん、玲香ちゃんも皆と違う高校に来たんだよね?」

「うん、なにか新しい事がしたくて。」

「あ、私も!
 なんか、中学の時あんまりパッとしなかったんだよね。
 周りに流されてるっていうのかな。」

「え?そうなの?
 桃花ちゃんはクラスの人気者って感じだけど。」

「全然!全くそんなのないよ〜。」

「へえ〜…人間見た目じゃないんだ〜…。」

キーンコーンカーンコーン…

「あ、チャイムなっちゃったね。
 じゃあ、これからよろしくね、玲香ちゃん!」

「うん、こちらこそ!」


そういって、桃花ちゃんは自分の席に着いた。

あ、さっきの男の子近くの席だ。

…名前はなんて言うんだろう。

って、何考えてんだ私。


でも、ついつい気になってしまっていた私でした。
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