銀魂
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ーー………龍麗
(……母様…どこ………。)
ーー…龍麗…よくも………
(………母様…?)
ーーよくも………私を殺したな………。
「………。」
「……龍麗様お目覚めを。」
「………堂惨。」
「おはようございます。今地球に到着しました。」
あぁ、と返事を返し体を伸ばす。
いつの間にか眠っていたようだ。
船内には自分と堂惨以外は既に降りたようで閑散としていた。
堂惨は大きな身体を少し屈め自分が席をたつのを待っていた。
彼にとってはこの船は窮屈だっただろう。
船を降りしばらく歩けば、様々な種族で賑わっていた。
ヒトの多さにうんざりしながら歩いていると、荷物を受け取ってきた堂惨が戻ってきた。
「何で地球に来たんだっけ…何の依頼だっけ。あぁ、忘れた……。」
「一番大事なことですよそこ!」
「………何でもいいや。そう言えば、地球には面白い種族がいるって噂で聞いたけど………あれとかかな。」
行き交う様々な種族の中に、地球人も何人もいた。
その中に、腰の辺りに刀を刺した男を指差し訪ねる。
「…かもしれませんね。ですが噂で聞くわりには強そうではありませんね。」
「………そうだね。もともとこんな辺境の星の種族だし期待はしてない。…そんなに強いならわざわざ用心棒の依頼なんて俺らにしてくるはずないし。」
(………依頼覚えてるじゃないですか。)
「しかし、龍麗様分かりません。依頼にはまだ日があります。何故こんなに早く地球を訪れたのですか?」
「………退屈しのぎに観光と、もしかしたら噂に聞くサムライにも会えるかなって思ってきたけど。見る限り、俺を殺してくれそうなのは居そうにないね。………残念だ。」
「…龍麗様。」
悲しそうな目を向ける堂惨。
そんな彼に気付き龍麗は答える。
「……冗談だ。ハハ、本気にするな。」
「………そ、そうですよね。」
行くぞ、と前を歩く龍麗の背を見つめる堂惨の顔は今だ曇ったままだった。
(…何年お仕えしているとお思いか。貴方は冗談など軽く言える方ではありますまい。)
そして、最初の会話から今にかけて龍麗の表情は一切変わらない。
笑い声を溢したときでさえ、その表情はピクリとも変わることは無かった。