彼岸島
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しっかりと斧神は真夜を部屋まで送り届けた。
斧神は真夜をソッと下ろすと、では、と部屋を出ていこうとした。
しかし、そんな斧神を真夜が引き留めた。
「斧神、もう少し居てよ。食事なら直ぐ済ませるからさ。話し相手にでもなってよ。」
「………ですが。」
斧神はチラッと小夜の顔を見た。
そんな視線に気づいた小夜はニッコリと斧神に笑い返した。
「私などが真夜様の話し相手など、そんな痴がましい。」
「…いや、俺が話したいだけだし。これがある限り俺は歩くのだって大変で、何処にも行けないし。正直暇なんだ………。」
そう言って真夜は、足首を指差し言った。
斧神は困っているように見えた。
「小夜に話し相手頼みたいけど仕事で忙がしそうだし……。あ、ごめん!斧神も忙しいよね。ごめん忘れてくれ。」
ハッとして謝る。
すると斧神は、いえ、と言った。
「………私などでよろしければ。」
そう言って、斧神は真夜の斜め前に腰を下ろした。
真夜は、少し嬉しそうに小夜が運んできた朝食をかきこんだ。