銀魂

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in〜地下遊郭吉原桃源郷

「なななな、何故!地球を訪れて最初に来る場所がここなのですか‼」

「……堂惨うるさい。」



地下遊郭吉原桃源郷
中央暗部の触手に支えられ
幕府に黙殺される超法規的空間
常夜の街 吉原

たくさんの遊女が誘い、男共が魂を潤す場所。
今二人はそこを歩いていた。


「観光ならもっと良い場所があるでしょう‼こ、このような破廉恥な場所貴方様がまだ知らなくてよいのですよ‼」

「………何が?こんな所に来る理由なんて1つだろう。」

堂惨は目を見開き硬直したかと思うと、ガタガタと震えだし顔を手でおおいワッと泣き出した。

「言いませぬ‼そんな汚い言葉、龍麗様は言いませぬぅぅ‼」

そんなに汚い言葉は言ってない、と思いながら辺りを見渡す。
すると右側に重みを感じた。

「ねぇねぇ、ウチで楽しんでかない〜?」

胸を大胆に強調した若い遊女がすり寄ってきた。
すると、周りにいた遊女が次々とよってきた。

「…あら?アンタ…男かい女かい?」

「………ご心配なく俺はつくもんはついてる。」

そう言うと後ろから、「そんなこと言いませぬぅぅぅ‼」とまた悲鳴に近い声が聞こえてきたが無視した。

「あらぁ、ごめんなさいね。へぇ〜、旦那綺麗な顔してるわねぇ。ネェネェ、ウチと遊んでおくれよ〜。」

さらに胸を押し付けて来る女。
鬱陶しくなってきたので堂惨の方を指差し言った。

「俺は気分じゃないから、あっちを誘ってやってくれ。アイツはシャイだが金は持ってる。あっちにしておきな。」

そう言うと遊女達はキャイキャイと堂惨に群がっていった。
突然の事に戸惑いを隠せない堂惨は顔を真っ赤にして叫んでいた。

「よせ!離れんか!龍麗様ぁお待ちくだされ!」

「心配するなそこの店にいる。適当に相手してやれ。」

「…そ、そんなあんまりにございます!えぇい、すり寄るな‼離れろ!」

遊女達にもみくちゃにされる堂惨を無視し近くにあった団子茶屋に入った。
外にあった長椅子には男が二人既にいたのでその二人の後ろに腰かけた。
店員の女に団子を10本頼み出された茶を飲んだ。
すると男二人の会話が近いのもあり嫌でも耳に入ってきた。


「………な。あの浮浪児はどうしたんだィ。」

「あぁ、清太のことかい。」

「そうそう、日輪を買うって毎日毎日小銭握りしめてお前んとこ来てた汚ねーガキだよ。」


(………子供が遊女を買うか。)

珍しい話だと興味もわいたが、出された団子の美味さに感動し他人事だと聞き流していた。
すると、自分の隣に誰かが座ったことに気づきそちらに目を向けた。

自分とは種類の違うボサボサな銀髪の男が座り団子を食べていた。

(…サムライ?)

男の腰に刺さった獲物に目をやる。

(…木製の刀?)

するとその男と目があってしまった。
男は目を見開いたかと思うとバッと向こうを向いてしまった。
見すぎたかと思いながら団子を頬張ると後ろの二人の声がまた耳に入ってきた。

「……って清太が毎日持ってきた金だよ。茶くらい飲む金はできたんだろう。」

「………………。」

男はなにも喋らず空をあおぐ。

(………クズだな。)

最後の団子を頬張りながらそう思った。
すると二人の男の笑い声があがった。

「ひでー奴だね。え?じゃあ一銭もないの?」

「………ないね。」

ゲラゲラと笑う男達の声を聞きながら横に立て掛けておいた傘を握る。

(………こういうクズなら殺しても文句は言われないかな。)

男達が立ち上がる瞬間首を跳ねようと思った時、男達は地に伏せていた。
横に目をやれば先程から隣に座っていた銀髪の男が木刀を抜いていた。

「………へぇ。」

じーっと見ているとまた男と目があった。
銀髪の男も今度は直ぐに視線を反らさず見ていた。

「………お兄さんサムライ?」

「………え?」

その時、後ろの店員から殺気を感じた。
最初から何らかの武器を所持していると分かっていたのでたいして驚きはしない。
すると、遊女を振りきったのかボロボロの堂惨がこちらに走ってくるのが見えた。

「………まぁいいや。お兄さん頑張れ。」

そう言って茶屋をあとにした。
その時、銀時が顔を赤らめていたことを龍麗は知るよしもなかった。




ボロボロになって戻ってきた堂惨の説教を聞き流しながら歩いていた。

「………龍麗様何かありましたか。」

「……なんで?」

「いえ、機嫌がよろしいように見えたので。」

「別に、サムライも捨てたものじゃないって少し思えただけ。」

「…そうですか。」

そう言って龍麗は常夜の街の人混みに消えていった。
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