世界一初恋
□寒い日の出来事
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「うー!さぶっ!!」
秋も終わりに近づいてきた頃
俺は駅のホームから出て暗くなった夜道を歩いていた
「こういう日にはよく母さんが鍋料理作ってくれたっけ...」
昔は当たり前だった食卓の風景が今では夢のようである
「はぁー...あったかいもの食べたい...」
今の自分にとって暖まる食べ物はカップ麺くらいだろう
再びため息をつく
今日は近くのコンビニでおでんでも買おうかと思案していると...
「なら、俺ん家来るか?あったかいもん食わしてやる」
突然後ろから声をかけられ驚き、振り返る
「たっ...高野さん!?なんでここに!?...先に帰ってたんじゃ...」
そこには30分くらい前の電車で帰ったはずの高野さんがいた
「あぁ...図書館に本返しに行ってた...で?来んの?」
そんなの決まってるじゃないか
「い、いえ、遠慮しときます。俺明日の仕事の準備とかあr...って、な!!なに!?」
さっさと話を切り上げてしまおうと、歩きだしたとき高野さんに腕を掴まれる
「何って...お前が逃げようとしたから」
ギクッ...
「いや...俺は別に」
完全に見透かされていた