小説

□★宴−恋人たちの囀り-
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「お邪魔するっスー。」
 「僕の仕事が長引いて遅くなって、すみません。」
 「気にすることでは無い。たいしたもてなしはできんが、ゆっくりしていくのだよ。」
 「ぷっ。緑間っちが、そんなこと言うなんて気持ち悪いっス。」
 「緑間くん、かなり丸くなりましたね。正直そんな緑間くんを見たくありませんでした。」
 「お前達・・・俺のことを何だと思っているのだよ・・・」

 今日は高尾くんに誘われ、4人で鍋パーティです。
 玄関先で緑間くんの気持ち悪いほど丸くなった姿に引き気味でいると、高尾くんがなぜかフリフリのエプロンで出てきました。

 「おぉ!二人とも来たか。そんなとこでダベってないで中に入れよ。もう準備できてるぜ。」
 「高尾くん、今日は誘っていただき、ありがとうございます。」
 「手土産に美味しいお酒買ってきたっスよん♪」
 「サンキュー!ささっ、さっそく始めようぜ。4人揃って明日がフリーなんて滅多にないんだからよ。いっぱい食べて飲み明かそうぜ。」

 高尾くんのエプロンについては、あえて触れず、お邪魔することに。鍋パーティの始まりです。



 鍋は海鮮の寄せ鍋です。緑間くんの親御さんが高級そうな蟹やら海老やらたくさん送ってきたらしく、緑間くんと高尾くんだけでは腐らせてしまうということで、丁度みんなの休みも重なるということで鍋パーティをすることになりました。普段こんな豪華な鍋はしないので、思う存分味わおうと思います。
 お酒は高尾くん達が用意してくれていた分と僕達が買ってきた分とで、けっこう量があったのですが・・・大の大人が四人も集まれば、あっという間に無くなり・・・当然、酔っ払いも出てきて・・・

 「ちょっと聞いて欲しいっス!最近、黒子っちが積極的なんス!前は俺ばっかりガッツいてたんスけど、黒子っちからチューしてくれるようになって、もう俺、嬉しすぎて死んでも良いっス!」
 「だったら今すぐ死ね。」
 「ちょっ!酷いっスよーーーっ。」
 「チューくらいで浮かれて、どうするのだよ。」
 「良いじゃないっスか!緑間っちのとこと違って、こっちは純愛なんス!」
 「む。俺のとこは純愛じゃないというのか。」

 黄瀬くんは酒の力でベラベラよく喋ります。これ以上いらないことを喋らないように、今のうちに締め上げたい気分です。緑間くんもお酒のせいか饒舌です。でも目がすわってます。そんな緑間くんが急に立ち上がり高尾くんの目の前に行きました。

 「高尾。チューするのだよ。」
 「ブフォっ!」

 高尾くんは噴き出しました。高尾くんだけでなく、僕も黄瀬くんも噴き出す勢いでした。

 「良いのかよ。観衆がいるんだぜ。」
 「ふん。構わないのだよ。」
 「おぉーー!見せつけてくれるんスねっ。」

 黄瀬くんが無駄に煽ります。

 「酔いが醒めてから後悔しても知んねぇからな。」
 「後悔なんてし、ん、んぐっ。んはぁ・・・んんっ、はぁ・・・たかっ・・・もっ、んんっ」

 高尾くんは僕達が見ているのにも関わらず、緑間くんに容赦無く舌を絡めるキスをしました。

 「・・・おぉ・・・すごいもの見せてもらったっス・・・」
 「見てはいけないものを見てしまいました・・・」
 「真ちゃん、顔がとろっとろだぜ。」
 「む。」

 今まで見たことのない緑間くんの表情に戸惑いを隠せませんでした。そんな中、黄瀬くんは急にテーブルを叩くように立ち上がり叫びました。

 「んあ゛ーーー!黒子っち!俺らもチューするっス!!」
 「嫌です。」
 「ブフォっ!即答っ。」
 「もう黒子っちは素直じゃないっス!」

 黄瀬くんは机に伏せ泣き出しました。そんな黄瀬くんは置いといて、緑間くんに目をやると様子がおかしいです。高尾くんも気づいたみたいで、意地の悪そうな顔で緑間くんに近づきました。

 「あれぇ。真ちゃん、どしたの?」
 「くっ・・・。お前のせいなのだよ。責任を取れ。」
 「二人いるけど目の前でしても良いのかなぁ。」
 「なっ!?馬鹿か!何を考えているのだよっ。」
 「ったく、しゃーねぇなぁ。」

 高尾くんは緑間くんを連れて別室へ向かいました。そしてドアを閉める前に僕達に、

 「じゃあ、真ちゃんが我慢できなくなっちゃったから寝室行くわ。お二人さんも、お好きにどうぞ♪風呂も冷蔵庫の中も適当にどうぞ♪」

 そう言って寝室に消えていきました。さて、残された僕達ですが・・・

 「さてと、二人になれたっスね☆」

 黄瀬くんは、すぐにでもキスをしてきそうな勢いで飛びついてきました。

 「キスは良いですけど、それ以上は嫌です。」
 「何でっスかー!良いじゃないっスかー!黒子っちの意地悪ー!」
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