小説

□月が眩しすぎて 後編
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 今日は土曜日出勤です。朝の出る時間は、いつも通り。寝てる黄瀬くんを起こさないように支度をした。
 キッチンにはメモがありました。

 『おはよーっス!高尾くんお手製の煮物つまんだっス。明日は・・・もう今日か(笑)昼から撮影で帰りは何時になるかわからないから先に寝ててイイっスからね。黒子っち大好き!チューしたい! 黒子っちの永遠のアイドル黄瀬涼太』

 ストレートに好きだとか言ってくれる黄瀬くん。僕も、それに応えたいのに、いざ言おうと思うと言えなくなる。黄瀬くんのことが好きなのに、本人を目の前にすると何もできなくなる自分に嫌気が差します。



 土曜日出勤だったので、いつもより早めの帰宅。まだ夕日が差している。同棲相手の帰宅時間は、わからないですが、夕飯は少し凝ったものでも作ろうと思い帰りがけにあるスーパーで買い物をして帰りました。
 マンションの自室がある階に到着すると珍しい人に出会った。

 「どうした、黒子。浮かない顔をしているのだよ。」
 「あ、緑間くん。こんな時間に会うなんて珍しいですね。」
 「今日は夜勤明けで、明日は休みだからな。たまには、こんな時間に活動してるのだよ。」
 「お医者さんって不規則な生活リズムで大変そうですね。」
 「慣れれば何とかなるものなのだよ。お前のとこの黄瀬も不規則な生活だろ。そんなことより何かあったのか?」
 「緑間くんに心配されるなんて明日は雪でも降りますかね。」
 「ふん。減らず口が叩けるなら心配する程でもないな。でも何かあって、俺に言いにくいことなら高尾にでも言え。あいつは、あぁ見えて空気が読める奴だ。話せば、気分転換くらいにはなるだろ。」
 「ありがとうございます。切羽詰ったら、高尾くんに話でも聞いてもらいます。」
 「あぁ、そうするのだよ。」
 「はい。緑間くんも、ありがとうございます。」
 「礼を言われる筋合いはないのだよ。」

 そう言って、緑間くんはエレベーターに乗り込んで行きました。
 僕、そんなに暗い顔してましたかね。最近、黄瀬くんと恋人らしいことをしていないせいですかね。同じ部屋に住んでるのに、ここ1週間程、まともに顔すら合わせていません。すれ違いの生活です。生活リズムが違うから、お互い気を遣わないように寝室は別にした。たまに深夜に黄瀬くんが僕の部屋を覗きに来るくらいです。時々、一緒に生活してる意味があるのかなと思ってしまう。
 でも、緑間くんと高尾くんも、お互い生活リズムが違うはず。どうしているのだろう。やはり一度、高尾くんに相談してみたほうが良いかもしれませんね。緑間くんは明日休みと言ってたので、お邪魔しては悪いので明後日にでも伺ってみましょう。
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