小説
□月が眩しすぎて 前編
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「先生〜。黒子先生ー!」
「あれぇ、さっきまで職員室にいたと思ったのにぃ。」
「もう、すぐどこかに行っちゃうんだから。」
「僕なら、ここにいます。」
「きゃっ!」
「わぁぁっ!」
「もうビックリしたぁ。」
「はぁ、すみません。」
かつて幻の6人目(シックスマン)と呼ばれていた僕、黒子テツヤは現在、新米教師。そう呼ばれている時よりは影の薄さはマシになったと思っていたが、相変わらずの扱いです。今日も生徒達に驚かれてしまいました。
そんな生徒達に今日の授業のわからなかったところの質問を受けてると、
「そういえば、先生って彼女いるんですかぁ?実は、もう結婚してるとか。」
「落ち着いてるから奥さんいそう!」
「きっと、ゆるふわ系の人じゃない!?」
「彼女はいませんよ。」
「えー、うっそだー。」
「絶対いるよー。」
彼女は、いません。でも同棲してる恋人はいます。言ったところで誰も信じてくれないでしょう。生徒達の予想する、ゆるふわ系とは真逆のタイプだし、モデル・・・芸能界という煌びやかな世界にいる人だし、そもそも男だし・・・
僕とは生きる世界が違いすぎて、本当に恋人という立場で良いのか悩むことがあるけれど、
「俺には黒子っちじゃないとダメなんス。」
なんて言ってくれるもんだから惚れちゃいますよね。
でも、やっぱり時々ものすごく不安で仕方ない時があるんです。自分は恋人として釣り合ってるのかなって・・・
「・・・って、先生聞いてる?」
「あ、すみません。聞いていませんでした。」
「もう先生ったら。もういいやぁ。」
「また明日わからなかったら聞こうっと。じゃあ、私ら帰るねぇ。」
「はい。気をつけて帰ってください。」
「はーい。さようならー。」
「じゃあ、先生。また明日ー。」
「はい。また明日です。」
生徒達見送った後、残りの仕事に取りかかる。抜き打ちテストの作成に、明日やる授業内容の確認、その他諸々の雑務・・・思ったよりも時間がかかってしまいました。今日は、この辺で切り上げたいと思います。