REBORN

□彼女の居なくなった職場
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それから四日後
唯は喫茶店でシンプルな服を身につつみ働いていた
一ヶ月働いている唯は
今や常連客やマスターなどから無愛想だが綺麗で頼りがいのある店員になっていた

そんな彼女は
一番のピークであった昼が終わり、少しゆっくりしていると
カランコロンと涼やかな音を鳴らして扉が開いた
その音に唯は振り返ると、無表情だが心地よい声で迎えた

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」

「…」

「…」

唯は首をかしげた
入ってきたのは女性が二人、二人とも帽子を深く被っていて顔がよく見えない
不審に思った唯は呼びかけようとした所で
二人が顔をあげた

「唯!!」

「見つけたわよ、唯!」

「アイーダさん…カレンさんまで…」

泣きそうになっている二人を見て
少し動揺したが、唯はすぐに冷静さを取り戻し適当な席に案内した

席に案内した後
唯は冷たい飲み物を取りに行ったり
マスターに休憩を貰ったりした

「アイーダさん、カレンさん。落ち着きましたか?」

「ええ…」

「ごめんなさいね、唯」

「いえ、大丈夫ですよ」

それより、どうしたんですか
とアイーダとカレンに飲み物を出しながらそう聞くと
二人の顔は真剣になった

「唯、もう一度帰ってこない?」

「アイーダさん…私は辞めた身ですし…」

ここまでは二人の予想の範囲以内だった
だからこそ、二人は真剣なのだ

「唯…私達のお願いを聞いてくれない?」

類にみない程に真剣な顔の二人を唯は見つめた
前にも言ったとおり唯は傍観者である

この願い事はボンゴレ絡みだろう
なら、唯は断った方がいい。その方が平和に暮らせるから
だが唯には一つ誤算があった

それは、彼女は予想よりもこの世界を好んでいる事だ
唯の場合、友人ができた場合で誤算だったのだ

「…分かりました…私のできる範囲以内でしたら…」

少し困ったように笑った唯は肯定した
その反応に顔を明るくした二人は、自然と笑顔になった

「で、願い事とは?」

さっきまでの和やかな雰陰気は
唯の一言でもとに戻り、真剣な雰陰気になった

「今日をいれて三日後に、大切なお客様が来るのよ…」

そこで唯は悟った
きっと、ボンゴレファミリー内は大変な事になっているのだろうと


「分かりました…要するに助っ人ですね」

コクンと頷く二人に唯はため息を吐いた
その事に不安そうに顔を曇らせる二人に唯は頭を下げた
二人は断られると思ったのか
絶望したような顔だったが、唯が行った言葉は良い意味で裏切られた

「その話、引き受けましょう
約束したからには完璧に仕事をこなしてみせます
沢田様にばれたときは私から言っておきます。明日から2日間で良いですか?」

頭を上げた唯の目には確かな光が灯っていた
二人は言葉を理解すると、コクコクと首を縦に振った
唯はその反応を確認すると、マスターに休暇を貰いに行った

「ねぇアイーダ…」

「…何?」

「私、初めて明日の仕事が楽しみに思えたわ」

「あら、私もよ」

アイーダとカレンはここ1ヶ月見なかった楽しそうな表情を浮かべている
二人は、もう氷が溶けてしまった飲み物を飲んで
明日が楽しみだと、談笑をしながら笑いあった
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