REBORN

□エンドロール
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今日も唯は五時に出勤し、メイド服に着替えた
髪までキッチリまとめ、控え室から出るとリビングに向かった

ガチャっとドアノブを開け、リビングに入ると
リビングにあるソファに誰かが寝ているのが見えた
その事に唯は首を傾げてソファを覗くと、安らかな顔で眠っている綱吉がいた

「綱吉様、風邪引きますよ。起きてください」

唯がゆさゆさと綱吉を軽く揺すっても起きなかった
そんな綱吉にため息を吐くと、リビングの備品である毛布を取り出し綱吉にかける

綱吉に毛布をかけた後
唯はキッチンに立つと、銀食器と今日使う食器を磨き
包丁を研ぐと包丁を戻し、リビングから出て行った

そして浴場に着くと、持って来ていた清潔なタオルでロッカーを拭き
ハンガーの向きを揃えて、次のロッカーへ
全てのロッカーを掃除すると、唯は使用済みのタオルを持って控え室に向かった

メイドの控え室に着くと、持ってきたタオルを洗濯機に入れ
昨日干しといたシーツと枕カバーをカートに乗せ
カートを押して控え室から出て行った

朝食の作る気配を感じながら、早起きの順からカートを押して部屋に入ると
素早くシーツと枕カバーを変え、ベットメイクをする
それを繰り返して
最後に唯が訪れたのは綱吉の部屋

「…さっきまでリビングにいませんでしたっけ?」

唯が言ったとおり、綱吉がベットですやすやと眠っている
思わず呆れたように呟いた唯はシーツと枕カバーを取り替えるのを諦め
机の上に置いてある大量の書類を整頓し始めた

「唯…はよ…」

背中が温かくなると同時に聞こえてきた声に振り向くと
眠そうにしている綱吉がいた

「沢田様、おはようございます。まだ寝てて大丈夫だと思いますよ」

んー…と眠そうに返事をすると
綱吉は唯の肩にぐりぐりと額を当てて、そのまま抱きしめた

「…さわd「名前」…綱吉様…」

綱吉は唯の苗字呼びに訂正をいれ、自分の名前が呼ばれた事に満足したのか
ダルそうにリビングに歩いて行った

「心臓に悪いです…」

疲れたように体の力を抜いた唯は、残りの書類を整理し
その後、シーツと枕カバーを取り替えて出て行った
そのままカートを押し、控え室に行くとアイーダとカレンがいた

「アイーダさん、カレンさん。おはようございます」

「ああ、おはよう」

「おはよう、唯」

取り替えたシーツと枕カバーを洗濯機に入れると、そのまま洗濯をしはじめた
そして唯が戻ってくると、二人は今日の仕事分けを話し合っていた

「アイーダさん、カレンさん。」

「「うん?」」

「いつも働いているでしょう?
 なので、今日はお二人で玄関を掃除したら帰ったらどうですか?」

その事に二人はでも…と言うと
唯は眉を八の字に下げ、そう言った理由を言った

「今日、お二人とも顔色が悪いんですよ」

だから帰ってください
と、困ったように微笑んだ唯に二人はしぶしぶ頷くと
玄関の掃除に行った

その後
洗濯物を干し、廊下や銅像、窓ガラスをピカピカにし
守護者たちも昼食も食べ終えた時間に唯は綱吉の部屋に訪れた
ノックを五回やり、返事を貰ってから入る

「綱吉様、唯です。今よろしいでしょうか」

「ああ、入っておいで」

失礼します
と、綱吉の部屋に入ると忙しそうに書類を片付ける綱吉がいた
その姿に苦笑をすると唯は綱吉のそばに立ち、書類を片付けるのを手伝った

「手伝わせちゃってごめん」

「いえ、手伝いたかっただけですから」

「そう?
 そういえば、どうして部屋に来たんだ?」

「その用件は書類を片付けてから言います」

「じゃあ、頑張らなきゃな」

以上が書類を片付ける手を休めずにいた二人の会話である
しかも、頑張ると言った綱吉の早いスピードに唯は表情を変えずに処理をしていった

「ねえ、本当に俺の秘書にならない?」

「考えておきます」

即返事をした唯に苦笑をすると、綱吉は最後の書類をし
唯が処理し終わったのを見届けると綱吉はにっこりと笑って唯に問いかけた

「で、用件は?」

「はい。以前、綱吉様から頼まれた花園桃の戸籍の調査結果です」

「ふーん…」

唯が渡した調査結果が書いてある紙束をパラパラ捲る
その様子を見ながら、唯は調査結果を話し始めた
何故なら、読んでいるようで読んでいない時が多いからだ

「花園桃の戸籍は作られた可能性が高いです
 巧妙に作られていますが、不自然な所や矛盾している所があります。
 本職の方でも見分けるのは難しいでしょう」

以上です。と唯が話し終えると
綱吉と調査結果を聞く所で入ってきた守護者達は驚きに固まった

「…本当に俺の秘書にならない?」

「凄いのな…」

「何でメイドが此処にいるんだよ!」

「くふふ、凄いですね。欲しいです」

「…」

驚く者二名、怒る者、笑う者、無言、一名
様々な反応に困ったように小首を傾げた唯は言われた言葉にそれぞれ返事を返していった

「秘書の事は考えておきます
 欲しい…ですか…断らせていただきます
 何でと言われましても…報告をしに来たので…」

ここに居る必要はもうないですよねと言わんばかりに急いで出て行く唯は
後ろで交わされていた会話を聞く事はなかった

「花園桃は―」




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