REBORN

□彼女が帰ってきた職場
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まだ日が上らない時間に唯がコツコツと廊下を歩く
彼女は黒い裾、白いエプロン、高い位置に纏めてある黒髪を揺らして歩いていた
彼女が歩くと何故か汚かった廊下が唯がいた頃のように綺麗になった

ただ、その様に見えるだけで
唯が持っている掃除用具で高速で掃除しているだけである

床には塵1つ無くなり、天井に張っていた蜘蛛の巣は跡形もなく無くなった
曇っていた銅像と窓ガラスは鏡のように磨かれた

唯はほぼ完璧に廊下一本を掃除すると、腕時計を見た
時刻は五時半
その事を確認すると、唯は足早に歩いて行った
その途中でも出来る限りの掃除をしていた

唯が足早に歩いたおかげか、五分後にはリビングに着いた
リビングに着くと唯は真っ先に台所に向かった

そこで、包丁を取り出す
その包丁を見た唯は軽く顔を顰めた
何故なら、刃こぼれが酷かったからだ

唯は砥石を何時も入れている場所から取り出すと包丁を研ぎ始めた
暫くして研ぐ作業を止めた唯は包丁の刃を、よく見るために目を細めてみる

そこで、満足がいったのか包丁と砥石をしまうと
銀食器や今日使うであろう食器を取り出し、磨いた

それも満足がいくまで磨くと、次はリビングの方に足を向けた
出ている雑誌を纏めて仕舞い
埃を濡れ雑巾で拭く、クッションを一番綺麗に見えるようにソファに置く
部屋が明るく見えるようにカーテンも開け、リビングから出て行った

少し時間が過ぎてしまったと思いながら裾を翻して歩いて行った

唯が歩いて行った場所は浴場
更衣室に入ると、カビが生えていそうな空間になっていた
その事にムッとすると、床に落ちていたゴミを掃いたり雑巾で拭いた

ロッカーを開けて、ハンガーの向きを揃え、さっきのとは違う清潔な雑巾で拭く
それをロッカーのある分だけ繰り返す

使われたタオルを洗濯場に持っていくと洗濯機に入れ
洗濯が終わる時間を確認し、洗濯してあったタオルを持っていきまた浴場に戻った

浴場に戻ると
普段タオルがある場所に持ってきたタオルを置くと
靴とストッキングを脱いで
掃除用具入れからデッキブラシや水垢落し、スポンジ、たわしを取り出した

それらを持って大きな風呂場に入った
浴槽に溜まっている水を抜いている間にスポンジやたわしで洗い場の水垢を落とす

落とした汚れを水で落としているとカララと浴場の扉が開いた
唯がそちらに顔を向けると、アイーダとカレンが居た

「唯、おはよう」

「何かやる事はある?」

「おはようございます。皆さんのシーツと枕カバーを干して畳んでおいたので取り替えてくれると嬉しいです
 それと…もう七時になってしまいましたか?」

唯に頼まれた事を組み込みながら、今日の日程を考えていると
若干申し訳なさそうな声で唯が聞いてきた

「まだ七時じゃないわ」

「今は六時半よ」

よかった…と安堵の声を漏らした唯は
シャンプーやリンス、石鹸にボディソープを取りやすい位置に置くと

次の洗い場に足を向け、また汚れを落とし始めた
唯が集中する前に…とアイーダとカレンは唯に声をかけた

「それじゃあ、唯。私たちはもう行くよ」

「何か手伝って欲しい事があったら言いなさいね」

「はい、分かりました」

ちゃんと返事があった事に、二人は頷くと扉を閉めて出て行った
その後も、唯は十組ほどの洗い場の汚れを落とし、綺麗になった事に満足そうに頷く

そして、浴槽の湯が全部抜けた事を確認し、浴槽の中に入ると
排水溝のぬめりを落とし、こびり付いた水垢を落とし、スポンジで泡を点てて汚れを落とし
それらを全部水で流して、湯を入れたところで七時ちょっとすぎになっていた

「予想以上に時間がかかりました…」

疲れたようにポツリと呟く唯は、掃除用具を入れて
ストッキングとブーツを履いて、唯はコツコツと廊下を歩いて行った

それから午前中は廊下や書庫などの部屋、守護者達の部屋を掃除をしていた
その頃には、ボンゴレファミリー内は唯が居た頃と同じ位に綺麗になっていた

対して、唯のメイド服は埃まみれでヨレヨレになっていた
唯はため息を吐くと、私服に着替えて控え室にあるキッチンにこもった




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