ブラックボックスへようこそ。

□01 「邂逅」
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「(見られてたなんて・・・)えっと、こ、こんにちは?」
『はぁ、こんにちは』
『ラミアス艦長。悠長に挨拶などしている場合ではありません。早く本題を』
『あ、えぇ、そうね。コホン』

艦長と呼ばれている女性が仕切り直すように、咳払いを一つ零した。
女性の艦長は珍しいが、ぱっと見20代後半ほどに見える。おそらくスメラギと同年代くらいだろう。その隣に見える女性は、黒髪のショートヘアで、20代半ばほど。随分と生真面目そうに見える。更にその奥にはアラサーと思われる金髪カーリーヘアの男性と、頼りなさ気に眉を下げている10代半ばくらいの少年が映っている。

少年は申し訳なさそうな顔をしつつも、目はキラキラさせてこちらを見ている。余程、件の救世主の正体が気になるらしい。
映っている人間は、一様に軍服らしきものを身に着けているが、見たことがないデザインだ。
CB以外のガンダム(らしきMS)に見覚えのない軍服・・・当初の仮定が一気に色濃くなってきた。いや、きっとそうなのだろう。ここは、西暦の時代ではないのだ。なんらかの経緯でどこかで分岐した、別の未来、なのかもしれない。

『先ほどはご助勢ありがとうございました。おかげで、窮地を逃れることができました。ありがとう』
「いえ、当然のことをしたまでです。見ていられなかったので。(ノワール。映像を偽装して。この場から動いていないように見えるようにね。接触するわよ)」

セレナの命令にノワールは音を発することなく目を点滅させた。了解の意味だ。そして、ゆっくりと機体を戦艦に近づかせる。












「本当にありがとう。それで、提案なのだけれど。どうかこちらに来て、直接話すことはできないかしら?」
『ふふ。随分警戒されているわけだ私は。助けてあげたのに。つまり私を拘束したいのでしょう?見たこともないMSに乗っているから。あわよくば戦力として数えたいのかしら?』
「っ!!そ、そんなことは「そうだ。話が早くて助かる」ナタル!」
「ここまで言われてしまえば、隠す意味もありません。うまく交渉に進むか必要があれば強硬手段に出るべきです」
『へぇ』
「!!?(何?急に雰囲気が・・・)」

冷気さえ感じるような冷めた声に、ブリッジが即座に凍りつく。

『私に強硬手段って、どんな感じ?悪いけど、戦艦1隻をその辺のデブリの仲間入りさせるのなんて、私にとっては子供をあやす様なものなのだけれど。私だって伊達にこれに乗ってるわけじゃない。やれるものなら、どうぞかかってきてください。最も、もう手遅れだと思いますがね』
「え?」
『はい、ロックオン。もう逃げられないね』
「ど、どういう「大変です。シグナルロストです!」!」
「隈なく探せ!」
「あ!」
「いたのか!どこに!?」
「目、目の前、です」
「なん、だと?」

トノムラの声に、モニターを消すと、正面のウィンドウに大きな銃口があてがわれていた。

「あ、あぁ」
「いつの間に・・・・・・ま、まさか」
『ピンポーン。あなた方が見ていたのは途中からは録画映像だったってわけ。さ、こちらの要求を聞き入れてもらおうかな。すぐにハッチを開きなさい。そちらへ向かうわ。尚、着艦した際に反抗意思を示した場合には、こちらも容赦しない(殺す気で行く)。それから、機体は外に置いておくから。勝手に触られちゃ困るしね。あぁ、私がいないうちに撃墜しようなんてムダだからね。どこからでも遠隔操作できるんだから』

とんでもないバクダン発言を大量投下して、通信が切れる。

「い、急いでハンガーデッキのハッチを開放しろ!!」

一瞬の後、艦内が慌しく動き始める。
とんでもない来客を迎え入れる為に。
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